第17回東京国際ブックフェアが行われ、韓国から大韓出版文化協会をはじめ19の出版、印刷会社が参加した。大韓出版文化協会の白錫基会長に韓国の出版事情について話を聞いた。
――日本では年間新刊数が2008年で約7万6000冊に上ります。韓国出版市場の規模を教えてください。
2009年度は韓国の出版社数が3万6332社、新刊図書の発行は計4万2191冊、発行部数は1億621万4701部です。また、08年度の韓国の出版市場規模は書籍、新聞、雑誌、印刷及び流通を含めて21兆529億ウォンで、07年の21兆5955億ウォンより2・5%減少しました。このうち書籍出版(教科書及び学習書を含む)分野は3兆5759億ウォンで出版産業全体の17・0%を占め、前年度に比べて9・9%減少しました。
――最近アップル社のアイパッドをはじめとした電子書籍が大幅に増加していますが、インターネット、携帯電話、テレビなど、メディアの多様化による読書人口減少の問題点と課題についてどのようにお考えですか。
最近、話題となっているアマゾンのキンドル、アップル社のアイパッドとアイフォーン、グーグルのアンドロイドフォンなど、電子リーダー端末機の登場は、出版社にとって新たな危機であることには間違いありません。
しかし、これは読書人口の減少が問題なのではなく、出版社の運営システムを電子書籍時代に合わせて転換しなければならないということです。現在、韓国の出版社はこうした電子書籍時代を先導すべく、さまざまな角度から摸索を続けています。
――韓国経済は回復傾向にありますが、出版業界への影響はありますか?このような不安定な時代における出版業界の傾向と特徴、対策についてお聞かせください。
経済低迷期には一次的に文化関連の支出を抑えるため、出版業界も大きな打撃を受けます。幸いにも韓国経済が低迷から抜け出して回復期に入ったという経済専門家の展望により、韓国の出版界も再び成長できる環境が造成されることを期待しています。
――今回、日本で開かれたブックフェアに参加した目的と成果をお聞かせください。また、ブックフェア会場では韓国館ブースを設置し、日本より3割程度安価で印刷できるなどコスト面と品質面の利点を日本の出版関係者にアピールしていました。対日本市場、対海外市場の実績について教えてください。
いままで韓国の出版業界は、主に日本図書の著作権を輸入して翻訳出版することが中心でした。しかし、日本で韓国のドラマや音楽に対する関心が高まるにつれて、自然に韓国文学への関心も高まりました。そのため、韓国図書の日本語翻訳出版も徐々にですが増加傾向にあります。韓国に輸入される海外の著作物は08年基準で計3億6853万6000㌦。このうち日本からの輸入規模は約20%程度に相当する7644万5000㌦です。その規模は毎年17%程度増加しています。半面、韓国から輸出される著作物は計2億6001万㌦で、日本への輸出規模はこのうちの約9・7%に該当する2514万7000㌦です。
――韓国では日流作家の作品が定着したようですが、韓国における日本人作家の作品の出版規模と現況についてお聞かせください。また、韓国人作家の日本進出などの戦略があれば教えてください。
海外著作物の翻訳図書は、韓国で発行される図書(計4万2191冊)の27・6%に該当する1万1681冊です。このうち日本作品の翻訳出版は4403冊で、翻訳図書全体の37・7%を占めています。
――日本の出版業界との交流と協力、提携、ビジョンなどをお聞かせください。
現在、日本と韓国はアジア太平洋出版協会(APPA)を主導する立場にあり、アジア・太平洋地域の出版文化産業の発展のために交流・協力しています。
これからは、韓国と日本の出版産業が世界の出版市場に進出できるよう相互に協力して努力しなければならない時だと考えています。