◆内需低迷と世界経済の回復が影響◆
韓国金融研究院が、来年の韓国の経済成長率を2・8%と見通した。同研究院は「2012年の金融動向と2013年の経済展望」セミナーを開き、「対外的な不確実性や主要国経済の緩慢な回復などによって、輸出は小幅増加にとどまる。内需も大幅増加は難しい」と予測した。
韓国金融研究院の来年の成長率予測は、これまで韓国の民間研究機関から出された予想値で最も低いもので、2%台の見通しは今回が初めて。先だって韓国銀行は3・2%、KDI(韓国開発研究院)は3・4%、IMFは3・6%、現代経済研究院は3・5%、LG経済研究院は3・3%との予測値を出している。
政府は、これらの見通しに対して「過度に悲観的」という立場だ。企画財政部総合政策課の関係者は今回のセミナーで、「雇用与件は好調で、物価や為替も安定している。来年の実質購買力が、今年より悪化することはないだろう。家計負債による消費萎縮の問題はあるものの、あまりに悲観的な予測だ」と述べた。また、「欧州は経済状況があまりにも良くない状況なので予想はある程度つくが、むしろ中国を不確定要素としてみなければならない。実際に中国政府は量的成長から質的成長への基調転換を模索しており、徐々に世界経済に占める中国の役割は弱まるだろう」と見通した。
韓国金融研究院は一方、民間消費、設備投資、輸出の小幅改善を予想した。
民間消費に関しては、就業者の増加、賃金上昇、物価安定によって実質購買力が改善。しかし、景気不振による消費心理の萎縮、家計負債の返済負担、住宅景気の低迷などのため、2・1%増にとどまると予測した。
対外条件の不確実性が投資心理の改善を妨げているが、設備投資増加率は来年下半期からの輸出拡大に伴って今年(1・6%)より多い5・2%と予測。建設投資は、非住居用建物や土木建設が拡大し、3年ぶりに2・1%を記録し、プラス転換すると見通した。
輸出は、世界経済の緩やかな回復傾向などによって小幅上昇の見通し。来年下半期から欧州財政危機など対外の不確実性が緩和されれば、輸出増加はマイナス2%から3・2%に改善すると分析した。
これと関連し、経常収支の黒字規模は、輸出の伸びが少ない上、国内外の景気低迷が持続的であるため、今年(328億㌦)と同水準の317億㌦と予想した。
消費者物価は中東地域情勢の不安や公共料金の引き上げ圧力など供給側の上昇要因があるが、今年の2・3%から来年は2・6%に小幅上昇すると予想した。
ドル・ウォン為替相場は豊富なグローバル流動性などで緩やかに推移し、年間平均は1084ウォン前後と予測した。
このほか、来年の就業者数は32万人増加し、失業率は3・3%と見通した。
企画財政部の朴宰完長官は、「V字型の回復ではないが、第4四半期から緩やかに回復すると予想する。ナイキのロゴのようになると話す人もいる」と話した。朴長官は、「来年の経済は4%台近くに成長するとみており、成長見通しを下方修正する計画はない。大統領選挙後の新政権が経済成長にどのような姿勢を見せるのかが大きく影響するだろう」と見通した。朴長官はまた、韓国経済と関連した外的変数として、「米国の大統領選挙、財政赤字をめぐる交渉の難航、中国新指導部の浮揚策規模、欧州危機」などを挙げた。