ここから本文です

2014/06/13

<オピニオン>韓国企業と日本企業 第17回 日韓でグローバルマネジメント力を相互補強                                                    多摩大学経営情報学部 金 美徳 教授

  • 多摩大学経営情報学部 金 美徳 教授

    キム・ミドク 多摩大学経営情報学部および大学院経営情報学研究科教授。1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。三井物産戦略研究所、三井グループ韓国グローバル経営戦略研究委員会委員などを経て現職。

◆連携で競争優位性の発揮を◆

 韓国企業の弱みの3つ目は、「グローバルマネジメント力」の不足である。韓国企業は、グローバル市場で製造・販売する能力、所謂「グローバルセールス力」に長けているが、グローバル市場に対応した経営・労務管理の能力、所謂「グローバルマネジメント力」には課題がある。

 例えばサムスン電子が経営幹部昇進者200人を対象にした研修で「サムスン電子はグローバル企業なのか」というテーマで議論をさせた時、「サムスン電子はグローバル企業である」と答えた昇進者は50%に過ぎなかったとされる。グローバル企業でないとする理由としては、「グローバルな製品を作るだけで、グローバルな経営ができていない」などが挙げられた。

 また、サムスン経済研究所の某研究員は、「韓国企業は、中国企業やインド企業よりもグローバル化が遅れている」と指摘している。さらに、外国人社員が、韓国独特の厳しい社内競争システムの中で能力を発揮できるか、疑問である。2010年初めにショッキングな事件が韓国の新聞で報じられた。

 サムスン電子で、一時は最年少で副社長(メモリー研究所長、当時51歳)を務めていた人物が、自宅マンションから転落して死亡したというもの。紙面には「自殺」の文字が躍っていた。この人物は、研究開発の担当で実績をあげて華々しく昇進したものの、いったん出世街道のレールから外れると今度は下向きのエスカレーターに乗ってしまったらしい。亡くなった時には、受託生産部門のチーム長でしかなかったという。研究開発部門からも外された彼が悲観的になったのではという推測も報じられた。


つづきは本紙へ


バックナンバー

<オピニオン>