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2014/08/22

<オピニオン>転換期の韓国経済 第55回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

  • 日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

    むこうやま・ひでひこ 1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より(株)日本総合研究所勤務、現在調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第55回

◆チャイナインパクトの克服◆

 これまで中国経済の発展は韓国の成長にプラスに寄与してきたが、近年の韓国経済はマイナスの意味で中国の影響(「チャイナインパクト」)を受けている。

 第1は、中国経済の減速に伴う輸出の増勢鈍化である(上図)。これにより、対中輸出が以前ほど韓国の成長に寄与しなくなった。

 第2は、中国の高成長が形成した好循環メカニズムの終焉である。中国の高成長期には資源需要が急拡大し、海運と造船業界にとっては追い風となったが、近年はその反動の影響を強く受けた。

 第3は、中国における過剰生産の影響である。中国ではリーマン・ショック後に景気対策の一環として大規模な公共投資が実施された。鉄鋼、石油化学など素材産業では積極的な増産が図られたが、その後の需要鈍化によって過剰な生産能力を抱えることになった。在庫が増加した結果、安価な中国製品が海外市場に溢れ、これが市況を悪化させた。


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