◆危機を革新に◆
韓国を代表する大企業の業績が軒並み悪化している。今年7―9月期の営業利益は、サムスン電子が前年同期比(以下同じ)60・0%減、現代自動車が18・0%減となった。現代重工業は3期連続の赤字となった。
とくにサムスン電子に関しては、「サムスンショック」として高い関心が集まっている。日本企業のなかにも、影響を受けて業績が悪化した企業が現れた。
稼ぎ頭であったITモバイル部門(中心はスマホ)の大幅減益に注目する見方が多い。たしかに減益幅は予想を超えたかもしれないが、①営業利益がスマホに過度に依存している、②スマホ市場の成熟化により成長の余地が小さい、③中国製低価格製品の台頭によりシェアが奪われるなどは、以前から問題点として指摘されてきた。むしろ今期の決算で注目すべきなのは、デバイス部門(主として半導体)がITモバイル部門を上回ったことである(下図)。サムスン電子が半導体事業で成長したことを考えると、ある意味で「先祖がえり」といえる。
同社は今年中国でNAND型フラッシュメモリーの生産を開始したほか、韓国でも半導体新工場の建設計画を発表するなど、半導体事業を今後の収益の柱にする方針である。半導体に関しては、自動車関連(ナビゲーションやセンサー、カメラを含む衝突回避装置、自動運転技術など)、交通システムを含むスマートシティー関連、ビッグデータ関連などで、今後も需要の増大が見込まれるため、この分野における事業の成否が同社の今後を大きく左右することになる。
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