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2014/09/26

<オピニオン>韓国経済講座 第167回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

  • アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学大学院教授を経てアジア経済文化研究所理事・首席研究員

  • 韓国経済講座 第167回①
  • 韓国経済講座 第167回②

◆二極化の認識と実態に乖離?(続)◆

 人間の認識は実態を超える。韓国二極化の認識程度を確認するためにジニ係数を見ると、ここ数年格差改善傾向にあることが確認されるものの所得再分配効果が低いため改善されてもその実感が薄いものになっている。

 ジニ係数と合わせて所得格差を表すのに使用されるのは所得5分位階層倍率である。これは所得階層の最高所得層20%(第5分位)階層の所得を最低所得層20%(第1分位)階層の所得で除した倍率である。

 当初所得で五分位倍率をみると2006年では6・65倍であったものが08年ではリーマンショックの影響で7・74倍にまで格差が開いた。その後格差は縮まったとは言えない。再配分後所得五分位倍率では再分配機能のためこの間の所得格差が5・3~5・7倍の範囲であり大きな変化はない。と言うよりもこの倍率が固定化されたままで大きな改善傾向は見せていないと見た方がよいだろう。つまり所得格差の固定的状況が長い間続いているため二極化状態の認識も定着しているのである。いうまでもなく所得の最上位層と最下層の比較である以上格差があるのは当然であるが、格差の縮小への変化、つまり底上げが感じられないことに対する失望感が二極化のイメージを強めているのである。

 そのことは次の調査に表れている。国際的調査機関である国際社会調査プログラム(ISSP)の調査を社会実情データ図録(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/)が掲載している。「職業と社会に関する国際比較調査09」で国民が「貧富の強い対立があると思っているかどうか」を38カ国について調べた結果、韓国で「とても強く対立」と答えたのは35・1%(4位)、次の「ある程度強く対立」と合わせると87・5%に達し、2位となる。この調査からも韓国民の認識が、二極化が深刻であると考えていることが示された。


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