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2014/11/28

<オピニオン>韓国経済講座 第169回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

  • アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学大学院教授を経てアジア経済文化研究所理事・首席研究員

◆韓国就業の裏側◆

 「この人の家族は仕送りでさぞ潤っているだろうな」、韓国で働く中国朝鮮族の姿を見てふと頭を過ぎったと言う。韓国に滞在する外国人は、法務部出入国・外国人政策本部の「出入国・外国人統計月報」2014年5月号によると15歳以上の国内滞留外国人総数は167万7000人で、うち国内常住外国人数は129万1000人、短期滞留外国人数38万6000人である。なお、15歳未満の外国人数は3万5000人である。このうち、就業者はどれくらい居るのか?統計庁社会統計局雇用統計課が14年10月23日に公表した「2014年外国人雇用調査結果」によると14年5月現在、国内居住の15歳以上外国人は125万6000人であり、就業者85万2000人、失業者4万4000人(失業率5・2%)、非経済活動人口36万人である。以下統計庁の数値で見ていくことにしよう。

 外国人の経済活動人口は89万6000人で、経済活動参加率(15歳以上外国人に占める経済活動人口)は71・4%、就業者は85万2000人で、雇用率(15歳以上外国人に占める就業者)は67・9%である。経済活動人口を国籍別でみると、アジア地域が最も多く全体の91・2%を占めている。韓国系中国人(中国朝鮮族)が41万4000人(うち就業者38万6000人、就業率93・2%)と最も多く、以下ベトナム人11万5000人(7万2000人、62・6%)、中国人(韓国系除外)が15万人(5万4000人、36%)で、これで外国人経済活動人口全体の61・2%を占めている。中国朝鮮族の雇用状況を見ると、15歳以上の中国朝鮮族数は53万3000人が滞在しており上で述べた様に経済活動人口41万4000人、うち就業者は38万6000人で非経済活動人口は11万9000人である。このように韓国の外国人労働者の中で中国朝鮮族が占める比率が最も高い。更に彼らが集中するのがソウル市である。

 ソウル研究院ソウル経済分析センターの調査によると、ソウル市内の外国人労働者は12年に15万433人で、国籍別でみると中国朝鮮族が13万730人(86・9%)で、次に米国人4161人(2・8%)、朝鮮族を除く中国人3408人(2・3%)、カナダ人1381人(0・9%)、ベトナム人1108人(0・7%)が続く。ソウル市で働く外国人のほとんどが中国朝鮮族である。彼らが働く職種としては、ソウル市が市内居住の外国人勤労者953人を対象に調べた結果、外国人勤労者が最も多く従事する業種は宿泊および飲食店業(243人、25・5%)である。次に建設業(16・4%)、製造業(13・3%)、教育サービス業(11・9%)、卸売および小売業(7・2%)の順だった。87%が中国朝鮮族であることから、これらの就業状況は彼らの労働状況を反映していると考えてよい。主に中国語を韓国語で教える教育サービス業を除き、いずれも労働環境が厳しい業種が多く、「きつい、汚い、厳しい」と言われる職場で苦労しているとの報道に度々触れることがある。


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