◆求められる俯瞰力、構想力、戦略力◆
北東アジア経済圏は、域内経済連携だけにとどまらず、その勢いは域外にも溢れ出し始めており、域外経済連携も活発化している。北東アジアと欧州、中東アフリカ、中南米との経済連携事例は、前回紹介した。今回は、北東アジアと中央アジアの経済連携の実態を紹介する。両地域を繋ぐ上海協力機構(SCO)が、そのプレゼンスを高めている。上海協力機構は、2001年6月15日に中国・上海にて設立された。
加盟国は、中国、ロシア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの6カ国である。ただ準加盟国が28カ国(モンゴル、インド、パキスタン、イラン、アフガニスタン、ベラルーシ、スリランカ、トルコ、トルクメニスタン、CIS・独立国家共同体、ASEAN)に上ることから、加盟国6カ国と準加盟国28カ国を合わせて34カ国に影響力を及ぼすことになる。上海協力機構に関わる国の総面積は、ユーラシア大陸の5分の4を占めており、総人口は38億人で世界人口の54%を占めている。
14年9月にタジキスタンの首都ドゥシャンベで開催された第14回上海協力機構では、テロリズム・分裂主義・過激主義という「3つの勢力」の取り締りに連携して取り組むことや「シリアの主権と領土保全を支持する」ことなどが確認された。また、第二次世界大戦の戦勝70周年を祝う共同行事に力を入れる方針も示された。さらに、新規加盟国インドとパキスタンの受け入れ条件を定めた合意文書などを採択した。一方、会議期間中、中国・習近平主席とロシア・プーチン大統領が、同年4回目の中ロ首脳会談を行い、金融や大型プロジェクトでの協力や天然ガスパイプの建設などで協力強化を確認。また、中国・ロシア・モンゴルの首脳が初めて中•ロ•蒙首脳会合を行い、中•ロ•蒙経済回廊の建設や貨物の越境輸送などを含む3カ国間の協力方針を確立した。
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