◆経済連携拡大で問題最小化を◆
去る11月1日~2日にソウルで韓日中首脳会談と韓日首脳会談が開催された。主な議題は北朝鮮問題、慰安婦問題、韓日中FTAなどであったが、本質的な目的は北東アジアの平和と安定に向けた韓日中の関係改善であったと言える。最早、北東アジアの平和と安定は、この地域だけの問題でなく、世界の平和と安定に大きく貢献するものとなっている。今後、韓日中の関係を改善するには、様々な方法が考えられるが、ここでは「韓日経済の役割」を考えてみる。
北東アジア(韓国、日本、中国、ロシア・シベリア極東、台湾、モンゴル、北朝鮮)の政治情勢は、北朝鮮問題(核・ミサイル・拉致)、領土問題(日中=尖閣諸島、韓日=竹島・独島、日ロ=北方領土、韓半島=38度線・北方限界線)、歴史認識(韓中と日本=教科書・靖国参拝、韓半島と中国=高句麗)、エネルギー・環境問題、日中ヘゲモニー(覇権争い)など対峙の構図にあり、葛藤が深まっている。
一方、北東アジア経済は、EU(28カ国)やNAFTA(北米自由貿易協定、カナダ、メキシコ、米国)と並ぶ世界の一大経済圏を形成しつつある。さらには、上海協力機構(SCO)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP=ASEAN+6)をも巻き込みながら、アジア・ユーラシアダイナミズムを牽引するであろう。SCOは、2001年設立以来、14年間で34カ国に影響力を及ぼしている。加盟国は6カ国(中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン)に過ぎないが、準加盟国は28カ国(モンゴル、インド、パキスタン、イラン、アフガニスタン、ベラルーシ、スリランカ、トルコ、トルクメニスタン、CIS・独立国家共同体、ASEAN)にも及ぶ。この背景には、北東アジアの域内経済連携の拡大がある。韓日中・台・中・韓・ロ・朝の経済連携が拡大しており、相互依存関係も深まっている。
このように北東アジアは、国際関係の緊張と経済関係の拡大という大きな政経矛盾を抱えており、「アジア・パラドックス」に陥っている。この「アジア・パラドックス」を解消する方法として理想的なのは、経済連携や文化・教育交流を拡大することにより、政治問題を相対的に小さくすることである。例えば韓日の経済協力や企業連携をより拡大・深化させて、政治関係をこれ以上悪化させることなく相対化できないであろうか。「アジア・パラドックス」の解消という視点から「韓日経済の役割」を改めて深く考え直してみる。韓日関係は戦後最悪であるが、韓日経済は戦後最高である。具体的には韓日の政治関係は、竹島・独島(領土問題)、従軍慰安婦、安重根の評価、歴史教科書、靖国参拝、日本海(東海)呼称、元徴用工の個人補償などの問題により険悪である。一方、韓日の経済関係は、貿易・投資・企業連携・観光客の拡大により密接である。問題というのは、至極当然の如く当事者双方に原因があるから発生するものであり、片方だけに問題があるということはあり得ない。
したがってこの韓日の政治問題も双方に原因があるのであるが、ここでは韓国の事情を3点ほど挙げる。一つ目は、「慰安婦問題などでの韓国政府の不作為(あえて積極的な行為をしないこと)は憲法違反」という憲法裁判所の決定(11年)があったこと。すなわち韓国政府が、慰安婦問題の解決のために行動を取らないと憲法違反になるということである。特に朴槿惠大統領が女性であるが故に、強硬にならざるを得ない事情もあろう。
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