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2015/03/20

<オピニオン>転換期の韓国経済 第61回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

  • 日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

    むこうやま・ひでひこ 1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より(株)日本総合研究所勤務、現在調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第61回

◆韓国の自動車部品輸入◆

 韓国では自動車部品が輸出産業として成長し(全体の輸出額の4%強)、貿易収支も大幅な黒字が続いている。主な輸出先は日本を除き、現代自動車グループが現地生産している国である。他方、輸入先は自動車産業におけるグローバル化の動き(海外生産、グローバル調達)を反映して、興味深い。

 最近の特徴として、以下の点が指摘できる。

 第1は、対日輸入依存度の低下である。自動車産業の育成期には、韓国企業は日本企業と提携して技術導入や部品輸入を進めていた。現代自動車はかつて三菱自動車工業と提携関係を結び、日本車をベースにしたモデルを開発し、この過程で日本からエンジンを含む多くの重要部品が輸入された。その後、国産化の進展と輸入先シフトの影響を受けて、自動車部品(SITC784)の対日輸入依存度は2000年の49・0%から14年に17・9%へ著しく低下した。

 第2は、対中輸入依存度の急上昇である。2000年代半ばから対中輸入が急増し、14年は34・8%となった。12年以降、中国が最大の輸入相手国になっている。

 中国からの輸入部品には、①中国に生産シフトした韓国企業の部品、②中国で操業している外資系企業の部品、③中国地場企業の部品などが含まれる。なかでも現代自動車グループの中国での生産拡大に伴い多くの部品メーカーが随伴進出したため、韓国系企業による逆輸入が増加したことは間違いない。また、ホイールのような労働集約製品は、中国地場企業の製品が多いと考えられる。第3は、中国と日本に次ぐ輸入相手国としてのドイツ、米国の存在である。

 米国からの輸入が増えたのはGMが韓国で生産していること、またドイツからの輸入が増加したのは、通貨危機後にドイツの部品企業が韓国に進出したこと、韓国でドイツ車の販売が増加していることが関係している。第4は、オーストリアとメキシコからの輸入増加である。05年と14年の輸入相手国上位10カ国を調べると(下表)、05年に番外であったメキシコとオーストリアが14年に5位、6位に入ったのが注目される。


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