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2015/04/24

<オピニオン>韓国経済講座 第173回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

  • アジア経済文化研究所 笠井 信幸 理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学大学院教授を経てアジア経済文化研究所理事・首席研究員。

  • 韓国経済講座 第173回

◆長期不況の時代◆

 韓国の消費力が落ちて、長期不況に陥るかも知れない。1990~97年の年平均成長率は7・5%とアジア通貨危機へ至る過程は高成長を維持していた。だが、98~2007年にはアジア通貨危機後の構造改革など不安定な時期で成長率が年平均4・7%に低下し、世界金融危機後の08~13年には平均2・9%とリーマンショックの影響を大きく受け成長率を下げた。直近では12年2・3%、13年2・9%、14年3・3%と僅かながら回復しているもののその力は弱く、15年の予測はここにきて軒並み引き下げられている。

 IMFは15年の韓国の経済成長率を14年10月に4・0%と予測していたが、今年1月に3・7%と修正し、さらに4月に入り再び3・3%に引き下げた。要因を「家計と企業の期待心理低下で成長動力がやや弱まった」と説明したという。

 韓国銀行も4月9日に今年の経済成長率を3・4%から3・1%に下方修正している。同行が修正値をIMF予測より低く設定したことで一層成長萎縮の感が高まっている。

 今年の経済成長率が3%を上回るためには第2四半期以降、四半期ごとに1%ずつ成長する必要があるものの10年以降の平均四半期成長率は0・9%で、最近ではそれも叶わないとする実績トレンドで見た極めて分かりやすい見解も出ている。そのためか、外資系機関の成長率予測も厳しく、例えば野村證券は3・0%から2・5%に、BNPパリバ インベストメント・パートナーズ株式会社(欧州を本拠とする世界有数の金融グループ)は2・7%と厳しい予測を打ち出し、米国コロラド州に本社を置き経済金融情報を提供しているIHSエコノミクスも2・9%、スタンダード&プアーズは最悪2・3%まで下落するといずれも2%台の予測値で今年の成長率は厳しいものになっている。

 さらに火に油を注いだのが、4月13日付で発表された韓国産業研究院の報告書である。『韓国経済の日本型長期不振の可能性検討』報告書は、韓国経済が日本のような長期不振に陥る可能性があると指摘した。公表資料は12頁と短いが、経済成長率が下がり続ける韓国にとっては信憑性の高いものがある。

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