◆求められる真のリーダーの登場◆
韓国社会の二極化が深刻である。昔はドブから龍が出る(鳶が鷹を生む)ことが可能であった。もちろん、それは本人の努力が必要であるものの、厳しい状況でも諦めず頑張れば成功することが出来た。しかしながら、現在の韓国社会ではドブから龍が出ることが難しい。
韓国職業能力開発院が2015年に発表した調査結果によると、高校を卒業して大学に進学したグループの親の1カ月の平均所得は286・2万㌆で、大学に進学していないグループの161・4万㌆を大きく上回った。また、大学に進学したグループの正規職比率は非進学グループより高く、より規模の大きい企業で働いていることが明らかになった。さらに、最近、ソウル大学の『経済論集』に掲載された論文では相対的に親の所得水準が高い江南地域の一般高校のソウル大学への合格率は2・1%で、相対的に親の所得水準が低い江北地域の一般高校の合格率0・1%より21倍も高いという結果が出た。ソウル大学を含めた有名大学の出身が社会の要職を占めている韓国社会の現状を考えると、生まれつきの所得の差は一生続く可能性が高くなっていると言えるだろう。
KB経営研究所は、16年6月に発表した「2016韓国富者(富裕層)報告書」にて、韓国には15年末基準で金融資産が10億㌆以上である富裕層が約21・1万人いると推計している。これは前年(約18万2000人)よりも約15・9%増加した数値で、調査を実施した11年以降、最も高い増加率である。
では、実際に韓国社会における所得格差はどのぐらいであるだろうか。「相対的貧困率」や「ジニ係数」の動向から確認してみよう。まず、可処分所得の中央値の半分の額に満たない世帯の割合を示す「相対的貧困率」は、06年の16・6%から15年には18・6%まで上昇している。しかしながら、同期間における「所得再分配後の相対的貧困率」は、14・3%から13・8%に改善された。また、所得分配の不平等さを示すジニ係数は06年の0・330から16年には0・341に少し上昇したものの大きく変わっていない(むしろ所得再分配後のジニ係数は0・306から0・295に減少した)。ジニ係数は0から1までの値をとり、分布が平等であれば0に近づき、不平等であれば1に近づく係数であり、韓国の所得再分配後のジニ係数が0・295であることは、韓国社会が格差の少なく安定した社会(ジニ係数0・2~0・3)であることを意味する。富裕層が持っている金融資産が増える一方、非正規職は増加し、さらに正規職の間でも格差が発生している等、韓国の国民が実感している所得の不平等さや格差はますます大きくなっているのに、なぜ統計上の数値は現実と乖離しているだろうか。その最も大きな理由としては高所得層の所得が正確に把握されていないことやジニ係数を算出する調査の所得基準が年間ではなく月間になっていることが挙げられる。韓国政府もこの問題点を認識し、既存のジニ係数を求める基準である「家計動向調査」よりサンプル数を増やし、所得基準を年間ベースにした「家計金融・福祉調査」を12年から実施し新しいジニ係数の算出を試みている。当調査による14年の所得再分配以前のジニ係数は0・380で、「家計動向調査」によるジニ係数0・341(所得再分配後のジニ係数は0・344)を大きく上回っており、この数値をOECD加盟国と比較すると韓国のジニ係数は相対的に高い国に分類される。
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