◆ワークライフバランスの実現必要◆
韓国の労働時間がなかなか改善されない。OECDの最新の調査結果によると、韓国の労働者一人当たりの平均年間労働時間は2014年現在2124時間で、メキシコの2228時間に続いて2番目に長く、OECD平均(1770時間)を354時間も上回っている。一日8時間労働を基準にすると、OECD加盟34カ国より1年間で平均約44・3日も長く働いているという計算である。韓国では2004年から週休2日制を企業規模別に段階的に適用することで、労働時間が少しずつ短くなっているものの、まだOECD平均とは大きな差が出ている。
一方、14年の韓国の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、6万7672㌦(購買力平価(PPP)換算アメリカドル)で、OECD平均8万7155㌦を大きく下回り、順位をみるとOECD加盟34カ国の中、第24位であった。さらに、14年の韓国の労働1時間当たり労働生産性は、31・9㌦となっており、OECD加盟34カ国の中でみると第28位に留まっている。OECD平均48・8㌦より低く、労働1時間当たり労働生産性が最も高いルクセンブルク(92・7㌦)の3分の1水準に留まっている。労働生産性は、各国の物価水準を反映した実質GDPを労働導入量(就業者数×総労働時間)で割って算出しており、労働者1人当たり、あるいは労働1時間当たり生産量(GDP)を表す。図はOECD加盟国の労働者一人当たりの平均年間労働時間と労働生産性の関係を示しており、両者の間には負の相関があることが確認できる。例えば、ルクセンブルクの場合、労働者一人当たりの平均年間労働時は1509時間で短いものの、労働生産性は13万8909㌦で最も高い水準を維持している。一方メキシコや韓国の場合、労働時間は長いのに労働生産性は低い水準に留まっている。不要な残業や休日勤務などが労働生産性を低くした原因である可能性が高く、より早く働き方の改革が要求される。
では日本はどうだろうか。日本の1990年の労働者一人当たりの平均年間労働時間は2031時間で、先進国の中で最も長かったものの、その後減少し続け14年には1719時間まで減少した。しかしながらこの数値を見て日本の労働時間が減少したと断言することは難しい。なぜならばこの数値にはパートタイム労働者やフルタイム労働者の労働時間が全部含まれているからである。パートタイム労働者を除いたフルタイム労働者(一般労働者)だけの労働時間をみると、13年に2018時間と94年の2036時間と大きく変わっていない。つまり、日本の最近の労働時間の減少はパートタイム労働者を含めた非正規職の増加に影響を受けた可能性が高く、実際に正規職の労働時間は大きく変化していない。日本政府は長時間労働に対する対策として年次有給休暇の取得を奨励しているものの、14年の労働者一人当たりの年次有給休暇の取得率は47・3%で、平均取得日数も8・8日に過ぎず、04年の取得率46・6%、平均取得日数8・4日と比べても改善の見込みがない状況である。
そこで、日本政府は人口や労働力人口が継続して減少している中で、長時間労働、残業などの悪しき慣習が日本経済の足を引っ張って生産性低下の原因になっていると考え、最近働き方改革に積極的な動きを見せている。安倍首相は働き方改革を「最大のチャレンジ」と位置づけ、今年の 8月3日に発足した第3次安倍再改造内閣に「働き方改革担当相」を新設し、そのもとに「働き方改革実現会議」を開き、年度内をめどに実行計画をまとめて行く方針を固めた。8月26日には17年度に働き方改革を推進するために、特別会計を含めて877億円を計上しており、最近には来年度から、退社から次の出社までに一定の休息時間を保障する「インターバル規制」の導入に取り組む中小企業に対して助成金を支給する方針を固めた。
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