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日本の厚生労働省が5月23日に発表した2015年の日本の合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数。以下、出生率)は1・46で、前年を0・04㌽上回り、1994年の1・50以降21年ぶりに高い水準になった。厚生労働省は、最近、日本の出生率が上昇していることについて13年から14年ごろに日本の経済状況や雇用情勢がよくなり、子供を産もうと思った人が増えたのが一つの理由であると説明している。実際、日本のGDPは14年第2四半期(478兆円)以降、継続的に増加し、16年第1四半期には503兆円に達している。また、16年4月の完全失業率(季節調整値)は3・2%まで低下し、有効求人倍率も1・34倍で、高い水準を維持している。
では、韓国はどうだろうか。15年における韓国の出生率は1・24で、前年の1・21よりは少し上昇したものの、01年以降15年連続で1・30を下回っており、日本との差が少しずつ広がっている様子である。なぜ韓国ではここまで少子化が進んでいるのだろうか。その主な原因として次のような六つの項目が考えられる。
①女性の学歴上昇と晩婚化や未婚化の進行―韓国における女性の大学進学率は、91年の33・7%からピーク時の08年には83・5%まで上昇した。その後は、景気低迷の影響により大卒就職率が改善されず、大学進学率も低下を続けたものの、14年にも74・6%という高い水準を維持している。このような学歴上昇とともに晩婚化も進んでおり、韓国における女性の平均初婚年齢は、90年の24・8歳(男性27・8歳) から、14年には29・4歳(男性32・4歳)まで上昇した。また、すべての年齢階層で未婚率が上昇しており、特に20~24歳と25~29歳の未婚率は、それぞれ70年の57・2%、9・7%から10年には96・0%、69・3%まで上昇している。
②若年女性の労働市場参加の増加―韓国における女性の労働力率はOECD加盟国の中でも低い水準であるが、女性の大学進学率が増加することにより、継続的に上昇している傾向である。01年に48・8%であった女性の労働力率は15年には51・8%まで上昇しており、特に25~29歳と30~34歳の上昇が目立つ。25~29歳と30~34歳の労働力率はそれぞれ01年の55・9%、48・8%から、12年には72・9%、61・8%まで上昇している。
③仕事と家庭の両立を支援する制度が依然として不十分―先進国では、女性の社会進出が進んでいる国ほど、出生率も高くなっている傾向がみられるが、韓国では、仕事と育児が両立できる制度がまだ十分に機能していない。④教育費負担の増加―韓国の高い教育熱や大学の受験戦争は、すでに世界的にも有名な話になっている。韓国では、子どもをよりよい大学に進学させるために、学校教育以外にも放課後や週末に民間の塾に通わせるのが一般的である。このような競争は加熱の一途にあり、私的な教育費の負担は毎年増加している。OECDの調査によれば、韓国における公教育費の対GDP比は、8・0%の高水準にあり、OECDやEU平均より大きい。さらにそのうち、私的負担の割合は38・8%であり、OECD平均14・3%やEU平均8・3%を大きく上回っている。
⑤結婚と子供に対する価値観の変化―個人の生活とその生活の質を重視する傾向が以前より強まってきて、結婚よりは仕事を、また、子供よりは夫婦のみの生活を選好する若年層が増加している。12年の『社会調査報告書』によると、結婚に対する見解についての設問に対して、「結婚すべきである」と答える割合は63・0%(男性:69・0%、女性:56・6%)であり、08年の68・0%(男性:74・6%、女性:61・6%)より低下している。
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