◆企業規模や業種間の格差解消を◆
厚生労働省が2015年11月に発表した日本の大卒初任給は20・2万円で、14年(20・0万円)に比べて0・8%上昇した。
一方、韓国経営者総協会が15年10月に発表した「15年賃金調整実態調査結果」によると、15年における韓国の大卒初任給は、290・9万ウォンで、前年の278・4万ウォンに比べて4・5%も上昇していることが明らかになった。
日本における15年の大卒初任給を韓国のウォンに換算(15年末基準、1円=9・7579ウォン)すると、約197・1万ウォンで、これは同時期の韓国の大卒初任給290・9万ウォンより約93・8万ウォンも低い水準である。
日本における大卒就職率は韓国より高く、一人当たりGDPもまだ韓国より高いのになぜこのような現象が起きているのだろうか。最近、韓国の賃金水準が大きく上昇したのが原因であるだろうか。
実際、韓日における最近の大卒初任給の上昇率は確然とした差を見せている。
例えば日本における15年の大卒初任給は20・2万円で、11年と変わっていない。
一方、韓国の15年の大卒初任給は290・9万ウォンで、11年の242・2万ウォンに比べて20・1%も上昇している。
つまり、日本に比べて高い韓国の最近の賃金上昇率が、もともと差があった韓日の大卒初任給の差を縮めた結果、上記のような結果をもたらした可能性がある。
しかしながら、いくら韓国における大卒初任給が上昇したとしても、韓国の大卒初任給が日本のそれをはるかに上回っていることには何故か違和感があるのが事実である。日本の大卒初任給が本当に韓国より低いと考えていいだろうか。
韓日における大卒初任給をより正確に比較するためには、為替の変動を考慮する必要がある。
11年の日本の大卒初任給20・2万円を当時の為替レート(11年末基準、1円=15・0661ウォン)を反映して韓国ウォンに換算すると、304・3万ウォンになり、これは当時の韓国の大卒初任給242・2万ウォンを上回る水準である。
11年と15年における日本の大卒初任給を円で比較したときには、変化がなかった(11年と15年両方とも20・2万円)ことに比べて、為替レートを反映して、韓国ウォンに換算すると、107・2万ウォンも差が発生している。
つまり、これは11年末に1円が15・0661ウォンであった為替レートが、15年末には1円が9・7579ウォンになった円安の結果であると言えるだろう。
実際に11年の韓国ウォンと円の為替レート(11年末基準、1円=15・0661ウォン)を15年の日本の大卒初任給20・2万円に適用すると、304・3万ウォンで同年の韓国の大卒初任給290・9万ウォンを上回る結果となる。従って、現在の韓国の大卒初任給は円安、ウォン高の影響により過大評価されていると考えられる。
韓国の大卒初任給が日本より高く現れているもう一つの理由としては韓国の大卒初任給には1年間の一時金が含まれていることに比べて、日本の大卒初任給には一時金が含まれていないことが挙げられる。
従って、日本の大卒初任給にも一時金を反映して再計算すると、現在の金額よりは高くなることは明らかである。
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