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2017/05/12

<オピニオン>曲がり角の韓国経済 第19回 韓国の民間医療保険の加入率は88・1%                                                      ニッセイ基礎研究所 金 明中 准主任研究員

  • ニッセイ基礎研究所 金 明中 准主任研究員

    キム・ミョンジュン 1970年仁川生まれ。韓神大学校日本学科卒。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て現在、ニッセイ基礎研究所准主任研究員。

  • 曲がり角の韓国経済 第19回 韓国の民間医療保険の加入率は88・1%

◆公的医療保険の保障性を高める政策を◆

 韓国では民間医療保険の加入率が毎年上昇傾向にある。韓国の健康保険政策研究院が2016年に実施した調査結果によると、15年における世帯の民間医療保険の加入率は88・1%で、14年の85・9%に比べて2・2㌽も上昇していることが明らかになった。年齢階層別加入率は、40代が91・9%で最も高く、次は30代(91・4%)、50代(90・9%)、20代(83・1%)、60代(77・8%)の順であった。最終学歴別に見た加入率は、短大卒以上が91・8%で中卒以下の80・1%より高く、最終学歴が高いほど民間医療保険への加入率が高いという結果が出た。また、世帯の所得水準(世帯の1カ月平均所得)別加入率を見ると、500万㌆以上が92・5%で最も高いことに比べて、100万㌆以下は61・3%で、世帯の所得水準によって加入率に大きな差が表れた。

 民間医療保険に対する世帯の1カ月平均保険料は、15年に30万8265㌆で、14年の25万9400㌆に比べて18・8%も増加しており、同期間における世帯の1カ月平均所得増加率0・8%を大きく上回った。また、世帯の1カ月平均民間医療保険の保険料30万8265㌆は、公的医療保険の職場や地域における世帯の1カ月平均保険料10万510㌆や8万876㌆を大きく上回る水準である。

 なぜ韓国では民間医療保険の加入率が高いだろうか。健康保険政策研究院が14年に実施したアンケート調査によると、民間医療保険の加入理由として、不意の疾病や事故による家計の経済的負担を軽減するため(46・3%)、公的医療保険の保障が不十分であるので(35・5%)、高級医療サービスを受けるため(7・9%)などが挙げられた。つまり、この結果から韓国における公的医療保険の保障率が高くないことが民間医療保険の主な加入理由であることが伺える。実際、韓国における公的医療保険の保障率は入院が55%、外来が62%で、OECD平均(入院89%、外来78%)を大きく下回っている。

 民間医療保険の中でも特に加入率が高いのは「実損填補型の医療保険(以下、実損填補型保険)」である。実損填補型保険とは、公的医療保険の自己負担分や公的医療保険が適用されない診療費や差額ベッド代等、実際にかかった費用を支払うタイプの保険であり、韓国では03年に導入されてから急成長している。実損填補型保険の保有契約件数は、12年3月の2662万件から15年12月には3265万件に増加しており、代表的な保険商品として成長した。民間医療保険の加入率増加には実損填補型保険の影響が大きかったと言えるだろう。

 しかしながら、実損填補型保険に加入した人に対する過剰診療や医療機関を渡り歩く「医療ショピング」の増加等により保険金の支払いが急増し、実損填補型保険の持続可能性が大きく懸念されている。09~13年の間の医療費の年平均増加率を見ると、実損填補型保険の保険金として支払われた部分を含む公的医療保険の適用外の医療費の増加率は10・2%で、全体医療費増加率7・7%や公的医療保険が適用される医療費の増加率6・7%を大きく上回っている。

 実損填補型保険の損害率(保険金を保険料で除したもの)は15年現在122・1%まで上昇しており、保険会社は将来の持続可能性を理由に実損填補型保険の保険料を16年に18~27%引き上げた。さらに、保険会社は、今後10年以内に実損填補型保険の保険料を2倍以上引き上げることを計画している。

 但し、保険会社が提示している損害率は実際の損害率(保険金÷保険料)より数値が大きい。つまり、保険会社の損害率は、①支払った保険金に損害調査費(保険会社の損害調査関係の業務に要した経費)等を加えたものを、


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