◆日米との格差依然大きく、中国は猛追◆
現代経済研究院は報告書「第4次産業革命基盤産業のR&D(研究開発)の現状と国際比較」を発表し、韓国の未来の成長動力となる第4次産業革命の基盤技術や特許、投資、人材などのインフラが先進国よりも大きく劣ることが分かった。特に第4次産業革命の核心である情報技術(IT)分野の特許件数や高度人材の割合などの項目では、米国、日本との格差は依然大きく、中国には猛烈に追い上げられている。未来産業の新たな発掘、産業革新を図るためには、第4次産業革命時代の核心基盤技術への投資を強化し、人材の発掘を推進して積極的に乗り出さなければならない。
韓国が第4次産業革命をリードして飛躍するためには、産業革命の「重要な要素技術」を早急に確保することが肝要である。要素技術は、基本的に第4次産業革命の基盤となる産業から導出される。どの国が第4次産業革命をリードするのかを把握するには、国別に第4次産業革命基盤産業におけるR&Dの現状を確認することが非常に重要である。本研究では、第4 次産業革命の基盤産業を定義し、基盤産業の各部門について国別にR&Dの現状を比較して政策的示唆を導き出してみたい。具体的な分析項目は、技術レベル、特許登録、R&D投資額、研究者、政府の支援金などである。
第4次産業革命の重要な要素技術と直接関連する人工知能、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)、センサー、自動化技術、新素材、バイオテクノロジーなどの産業を、国際標準の産業分類に合わせ、第4次産業革命の基盤産業と定義した。 選定された産業は、 ITサービス、通信サービス、電子、機械設備、バイオ医療の5つのグループに分類した。
技術水準の国際比較では、韓国は、米国、日本、EUなどの先進国に比べ非常に遅れた状況にある。同院が韓国科学技術企画評価院のデータ(2014年)を利用して算出した数値は、米国が99・8点とトップで、韓国は77・4点にとどまった。欧州連合(92・3点)、日本(90・9点)とも差が大きかった。米国は全ての産業部門で100点に近い高い技術力を保有し、日本とEUも大部分の産業で90点以上のスコアを記録した。一方、韓国は先進国に比べ技術格差が20点以上と非常に大きいことが分かった。
業種別ではITサービス、バイオ ・医療、通信サービスの順に技術格差が大きいと分析された。特にITサービス(76・4点)、バイオ医療(77点)の競争力に差が出た。中国は68・1点を獲得し、韓国との差は10点以内だった。
韓国は特許登録件数も少なかった。日本と米国が米国、日本、欧州のいずれにも登録している「三極特許」は5000件以上あるのに対し、韓国は750件で、日本や米国の7分の1の水準だった。とりわけITサービス業種は134件で、中国(153件)に抜かれた。
R&D投資額で韓国は、ITサービス、バイオ・医療、通信サービスなど新産業分野のR&D投資が絶対的に不足していると評価された。米国、日本、ドイツは製造、サービスへのバランスの取れた投資が行われているのに対し、韓国はほとんどの投資が製造、それも電子部門に集中している。電子業種には14年に301億6000万㌦を投資し、トップの米国(669億8000万㌦)の43%に達したが、ITサービス(3億4000万㌦)とバイオ医療(16億4000万㌦)への投資はそれぞれ米国の1・7%、2・3%にとどまった。
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