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2017/12/15

<オピニオン>韓国企業と日本企業 第59回 世界が北朝鮮問題の解決方法を探る                                                    多摩大学アクティブラーニング支援センター長 金 美徳 教授

  • 多摩大学アクティブラーニング支援センター長 金 美徳 教授

    キム・ミトク 多摩大学経営情報学部および大学院ビジネススクール (MBA)教授。1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。三井物産戦略研究所を経て現職。

◆「圧力強化」の方法とその効果を考察◆

 北朝鮮が11月29日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」を発射した。韓国国防省の分析結果によると、飛行試験は成功しており、通常角度で発射すれば1万3000㌔以上飛行でき、米国ワシントンまで到達可能と判断している。一方、大気圏再突入技術が完成したかどうかは現時点では確認できないとしている。今回のICBM発射により北朝鮮のミサイル発射回数は、2011年12月17日に金正恩政権が誕生して以来6年間で82回に達する。ミサイルの成功率は、79%(成功65回/合計82回、失敗17回)である。この内訳は、2012年2回(うち失敗1回)、2013年6回(うち失敗無し)、2014年19回(うち失敗無し)、2015年15回(うち失敗2回)、2016年24回(うち失敗10回)、2017年16回(うち失敗4回)である。また、この内日本の上空を通過したミサイルは、7回(1998年、2009年・2回、2012年、2016年、2017年・2回)であった。

 今回の北朝鮮のICBM発射に対し、世界の反応と抗議は迅速であった。国連安全保障理事会は、発射した日に北朝鮮による新型大陸間弾道ミサイル発射をめぐり緊急の公開会合を開いた。各理事国は、発射が安保理決議に違反するとして強く非難し、全ての国連加盟国に対し、これまでの対北朝鮮制裁決議の厳密な履行を呼び掛けた。とりわけ今回の件を重く受け止め、辛辣に批判したのが米国のヘイリー国連大使であった。全加盟国に北朝鮮との外交・貿易関係を断つようにと述べ、関係断絶を要求した。また、「北朝鮮の独裁者は昨日、戦争に近づく道を選んだ」、「我々は北朝鮮との戦争を考えていないし、今もそう望んでいない。もし戦争が起きるとしたら、昨日のような挑発行為が続くためだ」と強調して、北朝鮮に方針転換を強く求めた。

 北朝鮮情勢は、悪化の一途を辿る一方、多くの国が北朝鮮問題の解決に向けて様々な方法でアプローチが行われている。その方法は、大きく分けて「圧力の強化」と「対話の努力」である。朝日新聞社が2017年9月9~10日に実施した全国世論調査(電話)「あなたは、北朝鮮の弾道ミサイルや核実験に対して、日本政府は、次のどちらにより重点を置くほうがよいと思いますか。圧力の強化ですか。対話の努力ですか」では、「圧力の強化」が40%、「対話の努力」が45%、「その他・答えない」が15%。男女別では、男性が「圧力」49%、「対話」38%に対し、女性は52%が「対話」と答え、「圧力」32%であった。また、ヤフーが17年9月12日~22日に実施した意識調査(合計20万8494票)「対北朝鮮、対話と圧力どちらを重視すべき?」では、「圧力」が77・1%(16万766票)、「対話」が16・0%(3万3420票)、「わからない、どちらとも言えない」が6・9%(1万4308票)であった。総じて「圧力の強化」を求めているように伺える。一方、女性を中心に「対話の努力」を求めている。これは、世界的に見ても女性たちが対話を求めており、女性ならではの知恵を絞るケースも見られる。詳細は、別号で紹介する。

 今号では、「圧力の強化」の方法とその効果について考察する。

 ①「圧力の強化」により北朝鮮自らが、核を放棄する。北朝鮮にとって核は、


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