◆多様な寄付プログラムの提供を◆
統計庁が昨年の11月に発表した「2017年社会調査結果」によると、13歳以上人口のうち、調査時点から直近1年間に寄付をした経験があると答えた人の割合は26・7%で2015年の29・9%より3・2㌽も低下したことが分かった。寄付経験者の割合は2011年に36・3%でピークに達してから、徐々に減り続けている。また、今後寄付する意向があると答えた人の割合も41・2%で2年前に比べて4㌽も低下した。
韓国における寄付金総額は長期間にわたる景気低迷にもかかわらず、SNSなどにより寄付がしやすくなった影響もあり、継続的に増加し2013年には12・47兆㌆で最高額を記録した。しかしながら、2014年の寄付金総額は12兆㌆で調査開始以来、初めての減少となった。このように寄付金が減少した理由としては景気回復の足取りが非常に遅く、個人の経済的状況が段々厳しくなったことが考えられる。実際に、上記調査で寄付をしていない理由を聞いたところ、57・3%の人が「経済的余裕がなくて」寄付ができないと答えた。また、寄付をしていない他の理由としては「寄付に対する関心がないから」(23・2%)、「慈善団体が信用できないから」(8・9%)、「直接要求されたことがないから」(6・3%)、「寄付する方法を知らないから」(4・1%)が挙げられた。
最近は、募金をする慈善団体などの不祥事が次々と明るみに出てくることが、個人が寄付を回避する一つの要因になっている。その影響なのか2017年末には救世軍による社会鍋の募金額など個人による寄付額が大きく減少したそうだ。また、崔順実ゲート事件と呼ばれた政治スキャンダルの影響で、大企業の寄付額が大きく減少した。
では、韓国における寄付はどのぐらいの水準であるだろうか。寄付大国とも言われる米国と比べてみよう。2017年に発表された「寄付白書(Giving USA Report)」によると、2016年における米国の寄付金総額は3900・5億㌦で2016年の3798・9億㌦に比べて2・7%も増加した。これは米国の2016年の名目GDP(約18・6兆㌦)の約2・1%に相当する金額である。このうち個人による寄付金は2818・6億㌦で、全体の約72・2%を占めている(遺贈による寄付金303・6億㌦を含めると寄付金総額の80%水準)。一方、財団と法人からの寄付金はそれぞれ寄付金総額の15・2%(592・8億㌦)と4・8%(185・5億㌦)に過ぎず、米国では個人からの寄付が圧倒的に大きいことが分かる。
韓国の寄付金総額は米国の約35分の1の水準であり、寄付金総額の対名目GDP比も0・8%で、米国の2・1%と大きな差を見せている。また、韓国における個人の寄付金は2014年現在7・09兆㌆で寄付金総額の約59%を占めており、米国(2016年72・2%)に比べて寄付金総額に占める個人の寄付額の割合が低い。ご存じのように、米国の公的社会保障制度は自己責任の精神に基づいており、公的社会保障制度による恩恵がすべての国民に行き届いていない。政府だけに頼っていても何も解決されず、社会の問題はより深刻になるだけである。そこで、宗教団体やNPO団体等が、寄付やボランティア活動をすることにより政府が解決できない社会問題を少しでも解決しようとしている。さらに、企業家を中心とする個人の間でも利益の一部を社会に還元しようとする動きが普及している。その代表的な人物として挙げられるのがバークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務めているウォーレン・バフェット氏とマイクロソフトの設立者であるビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツ夫妻である。2016年における彼らの寄付額はそれぞれ約28・6億㌦と約21・4億㌦に達しており、二人の寄付金だけでも韓国全体の寄付金の約半分に匹敵する。さらに彼ら以外にもマイケル・ブルームバーグ(6億㌦)、ジョージ・ソロス(5・3億㌦)、チャック・フィーニー(4・8億㌦)などが韓国では聞いたことのない大金を社会に還元している。
米国で個人寄付が普及されているもう一つの理由としては計画寄付(planned giving)が普遍的に実施されていることや多様な寄付プログラムが存在していることが挙げられる。その結果、
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