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2018/05/25

<オピニオン>転換期の韓国経済 第99回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

  • 日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

    むこうやま・ひでひこ 1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より(株)日本総合研究所勤務、現在調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第99回

◆新たな協力関係に向かう韓越◆

 韓国企業・経済にとって、ベトナムの重要性が高まっていることは以前にも指摘した。韓国の輸出額に占めるベトナム向けの割合は、2010年の2・1%から17年に8・3%へ上昇し(中国、米国に次ぐ3番目)、近い将来、米国を抜くと予想されている。

 ベトナム向け輸出の急増には、韓国企業による直接投資の増加とFTAの発効(15年12月)が影響している。とくに韓国企業によるベトナムでの生産拡大に伴い、中間財の輸出が増えたことによるところが大きい。

 財閥グループの系列企業とサプライヤーが進出したことにより、産業集積が徐々に進み出した。最近では、金融機関の進出も増加し、新たなサービスを提供している。

 このように、韓国企業の投資拡大がベトナム経済の高度化に寄与しているが、両国の経済関係拡大に果たしている韓国政府の役割も見落としてはならない。

 韓国の政府開発援助(ODA)は80年代後半から開始された。その体制は、韓国輸出入銀行に設置されたEDCF(Economic Development Cooperation Fund)による有償資金協力と外交部傘下のKOICA(Korea International Cooperation Agency)による無償資金協力からなる。

 韓国政府は93年以降、ベトナムに対してODAを実施している。05年には、初の国別援助計画として「ベトナムのための中長期援助事業計画」を策定し、交通・都市インフラや保健・医療、環境、農村振興など多くの分野で援助を実施してきた。

 これまでの二国間援助の実績をみると、ベトナムが最大の供与先で、金額ベースでは実に全体の20%近くを占めている。

 最近では、ハノイとベトナム北部最大の港湾であるハイフォン港とを結ぶ高速道路(105㌔㍍強)のうち、2区間(計16・4㌔㍍)の建設資金をEDCFが融資した。

 交通インフラの整備も援助の対象になっているが、韓国は経済規模が小さく、ODA供与額が限られているため、大規模プロジェクトへの支援では、他国に伍していけない。こうしたなかで、韓国政府は自らの発展経験をもとにした、独自の援助を志向するようになった。その一つがセマウル事業である。

 韓国では発展に取り残された農村の所得増大と生活環境の改善を目的に、灌漑や道路などのインフラ整備、高収量品種・ビニールハウス栽培の普及、住環境の改善などが70年代にセマウル運動として展開された。

 KOICAは15年に、ベトナム中部クアンチ省と北部ラオカイで、セマウル事業を開始している。

 こうした韓国独自の援助を支えているのが、


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