◆米中貿易戦争が韓国に及ぼす影響◆
韓国では今年1~3月期の実質GDP成長率が前期比マイナス0・4%になった。投資の冷え込みが続いたうえに、輸出が一段と減速したためである。輸出の減速には、激しさを増す米中貿易戦争が影響している。今後の焦点はトランプ政権が対中制裁の第4弾を発動するか、ファーウェイ問題に韓国政府・企業がどう対応するかである。
米中貿易戦争の影響により、韓国の対中輸出額は今年1~5月に前年比15・4%の減少になった。対中輸出は半導体やLCD、部品など中間財が多いため、中国の生産鈍化の影響を受けやすい。
対中制裁の第4弾は約3000億㌦相当分に対して、追加関税を課す予定である。米国通商代表部は公聴会を開いて、各業界からの意見を聞いた後で最終対象品目リストを確定する方針であるが、スマートフォンやノートパソコン、デジカメなどが含まれた場合、韓国への影響は大きい。
さらに、最近大きな問題になっているのがファーウェイへの対応である。米国がファーウェイとの取引を禁止する理由は、通信機器を経由して軍事情報が盗み出されるなど、国家安全保障上のリスクが大きいことである。ファーウェイとの取引停止が企業に与える影響には、①サプライヤーの販売減少、②調達先の見直し、③競合企業の販売増加などが挙げられる。
米国は韓国に対してファーウェイ制裁への同調を促してきたが、文政権は同社の設備を使用しても、韓米間の軍事安全保障に及ぼす影響はないという考えを示したほか、ファーウェイとの取引は企業が自律的に決めるものとして、政府としての立場を明らかにすることを避けてきた。これは、中国が韓国に「正しい判断をすべき」と述べ、THAADの二の舞になる恐れがあることをほのめかしているからである。
その後、米国国務省は「韓国が第5世代ネットワークにファーウェイの通信設備を使用する場合、米国政府は敏感な情報の共有を避けるしかない」と述べ、釘をさした。このように、韓国政府は米中の狭間で身動きのとれない状況に陥っている。これをどう打開していくのか、今後の課題である。
他方、韓国企業は米国政府の方針に従わなければ、セカンダリーボイコットの対象になるため、取引を見直す動きが出てきた。最近、ハンファテックウィンがシステム半導体の調達削減を決定した。今後の注目点は、ファーウェイの通信設備を使用して、第5世代ネットワークサービスの整備を進めてきた大手キャリアがどう対応するかである。
こうした一方、
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