◆経済の実態把握し、活性化につながる政策を◆
最近、韓国経済が危機的状況にあるとの見方が増えている。たしかに、成長率の低下やディスインフレ、製造業の不振、若年層の就職難など、多くの問題を抱えているのは事実であるが、現在の状況は通貨危機やリーマンショック(08年9月)前の状況と大きく異なることに注意したい(表)。
通貨危機前にみられた動きは、①財閥グループが内外から大量の資金を調達し、過剰ともいえる投資が行われたこと、②事実上のドルペッグ制度が採られていたこと、③経常収支が赤字であったことなどである。97年に入り中堅財閥が相次いで破綻し、金融機関の経営が急速に悪化したことが、通貨危機を招いた。他方、リーマンショック前は、経常収支はほぼ均衡していたが、短期対外債務額が外貨準備高の8割水準にまで増加していた(その要因については前回指摘)。
つづきは本紙へ