◆慎重な議論で4大河川事業の失敗を繰り返すな◆
韓国政府は1月29日に開かれた国務会議で、16の市・道が申請した総事業費24・1兆㌆に上る23の公共事業について予備妥当性調査を免除する「国家均衡発展プロジェクト」を確定した。今回、予備妥当性調査が免除された事業は17の市・道が申請した32の公共事業(総事業費68・7兆㌆)のうち、企画財政部、国土交通部、産業通商資源部などが審議を経て決めた事業で、総事業費24・1兆㌆のうち、国が18・5兆㌆を投入し、残りは地方や民間から調達される。実施期間は2029年までの今後10年間で、毎年平均約1・85兆㌆の国の予算が使われると見込まれている。
洪楠基・経済副首相兼企画財政部長官は記者会見で、「企業や雇用、そして研究開発投資が首都圏に集中し、地域経済が活力を失い、首都圏と地域の格差が拡大しているため、地域が自立的に成長できる国の戦略的な投資が急務だ」と説明しながら、今回の措置の妥当性を強調した。また、「国の均衡発展と地域経済によるシナジー効果を生み出す事業を優先的に考慮し、事業計画が具体的で迅速に推進できる事業を選定した」と選定過程の透明性を明らかにした。
今回の予備妥当性調査の免除事業は、全事業費の約70%である16・6兆㌆が鉄道、道路などの交通網構築に投入される。また、研究開発(R&D)投資等による地域戦略産業の育成に3・6兆㌆、地域住民の生活の質の改善に4兆㌆が投入される予定である。事業規模は、金泉市と巨済市を繋ぐ南部内陸鉄道事業が4・7兆㌆で最も大きく、次いで平澤駅と五松駅の間のKTX複々線の構築(3・1兆㌆)、地域特化産業の育成(1・9兆㌆)、忠清北道の鉄道高速化(1・5兆㌆)の順である。
予備妥当性調査は、アジア経済危機を経験した金大中政権が国の多額の予算が投じられる公共事業の政策的・経済的な妥当性を事前に詳しく検証・評価し、国の予算の無駄遣いを防ぐために1999年に初めて導入した制度である。実際、予備妥当性調査が導入される前に国の予算が無駄に使われた事例は数多くあり、その代表的な事例として地方空港の無分別な建設が挙げられる。つまり、国会議員や大統領の選挙の際に空港誘致を選挙公約として乱発した結果、経済性が見込めない地方空港が雨後の筍のごとく乱立し、現在まで赤字状態から脱却していない空港が少なくない。1300億㌆が投入された蔚珍空港は、就航を希望する航空会社がなかったので、結局開港できず用途を飛行訓練センターに変更する屈辱を味わった。
予備妥当性調査の対象事業は、大規模の新規開発事業を推進する前に事業の経済性と妥当性を緻密に検討する制度で、06年に制定された国家財政法では、総事業費が500億㌆以上の事業のうち、国の予算が300億㌆以上支出される事業に対して予備妥当性調査を実施するように定めている。ただし、国の安保や経済・社会的な緊急問題に対応するために、国が政策的に推進する必要がある事業は調査対象から除外している。
予備妥当性調査の実施結果をみると、予備妥当性調査が実施された99年から16年までに市・道が申請した732件の公共事業のうち、273件が不適切だと判定され、実施までは至らなかった。予備妥当性調査が政府の財政を管理し、予算の無駄な支出を防ぐのにある程度の役割を担当してきたと言えるだろう。
しかしながら、「大土建大統領」として知られていた元李明博大統領の時から予備妥当性調査が危機を迎え始めた。李明博元大統領は09年3月に予備妥当性調査を改正し、予備妥当性調査を経ずに実施できる事業の項目を既存の5項目から10項目に拡大した。その結果、4大河川再生整備事業(予算22兆㌆)という大規模な土木工事を皮切りに次々と予備妥当性調査が免除されることになった。李政権の5年間(08年~12年)に予備妥当性調査が免除された公共事業の数は68件(総事業費は54兆㌆)に達する。
李政権時代に野党であった現在の政府と与党は、
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