◆官民連携で持続可能な長期的対策の推進を◆
韓国の出生率がついに1を切った。韓国統計庁が発表した「2018年出生・死亡統計(暫定)」 では、18年の合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数、以下出生率)が17年の1・05を下回る0・98まで低下すると予想した。出生率が1を下回ることは関連統計を発表してから初めてだ。
最近、韓国が直面している最大の課題の一つが「少子化」である。韓国政府は少子化の問題を解決するために、06年から「セロマジプラン」という少子高齢化対策を実施し、10年間にわたり、莫大な予算を投入したものの、06年に1・12であった出生率は17年にはむしろ1・05まで低下した。さらに、「18年出生・死亡統計(暫定)」によると、韓国の18年の出生率は0・98まで低下することが予想されている(図表)。
韓国統計庁の将来出生率推計(低位)では、韓国の人口減少時点を28年と予想しているものの、すでに出生率は低位基準を下回っていることを考慮すると、人口減少の時点はより早くなる可能性が高い。
出生児数は、1970年の102・5万人をピークに減り続け、02年には49・7万人まで、さらに18年には32・7万人まで減少した。一方、死亡者数は高齢化の進行と共に増え続け18年には29・9万人で、死亡関連統計を作成し始めた83年以降最大値となった。出生児数から死亡者数を差し引いた人口の自然増加数は2・8万人で(70年以降最低値)、ソウル市(1・3万人増)、京畿道(2・8万人増)など9つの広域自治団体の人口は自然増加したことに比べて、慶尚北道(6千人減)、全羅南道(6千人減)など8つの広域自治団体の人口は自然減少した。
地域別出生率は、世宗特別市が1・57で最も高く、次は全羅南道(1・24)、済州特別自治道(1・22)の順であった。一方、ソウル特別市(0・76)と釜山広域市(0・90)、そして大田広域市(0・95)、光州広域市(0・97)、大邱広域市(0・99)のような大都市の出生率は1を下回った。
少子化の影響を受けて、産後調理院の数も減少していることが明らかになった。産後調理院とは、出産を終えたばかりの母親と生まれたばかりの子どものケアを24時間体制でサポートしてくれる施設で、女優の小雪さんが利用したことで日本国内でも一時有名になったことがある。4月1日に育児政策研究所が発表した報告書によると、16年に610カ所まで増加していた産後調理院の数は、その後は減り続け18年には584カ所まで減少した。報告書では社会や家族構成の変化により産後調理院が産後ケアの中心的な役割をしていたものの、少子化の影響により産後調理院も減少していると分析している。
韓国における少子化の原因としては、まず、人口学的要因が挙げられる、つまり、妊娠可能年齢の人口が減少していることや晩婚化が進むことにより初婚年齢が上昇していることが少子化に影響を与えている。20代後半及び30代前半の女性人口はそれぞれ95年の221万人と217万人から17年には155万人と165万人に減少した。また、男性の初婚年齢は95年の28・4歳から17年には32・9歳に上昇した。同期間における女性の初婚年齢も25・3歳から30・2歳に上昇している。その結果、第1子出産時の母親の平均年齢は95年の26・5歳から16年には31・4歳まで上昇した。
少子化の2番目の原因としては、労働力の非正規化と婚姻率の低下が挙げられる。韓国パネル調査の分析結果によると、常用労働者の結婚確率は、臨時・日雇い労働者に比べて4・4%高く、正規労働者の結婚確率も非正規労働者に比べて1・2%高いことが明らかになった。3番目の原因として考えられるのが女性の労働時間増加である。女性管理者パネル調査の資料を用いた分析結果によると、年齢、学歴、賃金をコントロールした状態で既婚女性の1週間当たりの総労働時間が1時間増加した場合、
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