◆持続可能なバランスの取れた制度導入を◆
新型コロナウイルスの勢いがいまだ弱まる気配を見せていない中、韓国ではベーシックインカムの導入に対する議論が進んでいる。ベーシックインカムとは、政府が財産や所得、そして勤労の有無等と関係なく、無条件ですべての国民の生活に最低限必要な現金を支給する政策である。ベーシックインカムは、フィンランド、カナダ、オランダ等で一部の人や地域を対象に実験的に実施されたことはあるものの、まだ本格的に導入した国はない。2016年にはスイスでベーシックインカムの導入案をめぐって国民投票が行われた。導入推進派はすべての大人に月2500スイスフラン(日本円で約27万円)、未成年者に月625スイスフラン(同約6万8000円)を支給する案を提案した。これに対して、連邦政府を含む反対派は膨大な費用が掛かることや、働く意欲を失う労働者が増えること、そして海外の低所得者を中心にスイスへの移民が増える恐れがあることを理由にベーシックインカムの導入に対して反対を表明した。投票の結果、有権者の約8割が反対し、ベーシックインカムの導入案は否決された。
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