◆いまだ根強く残る差別の改善急務◆
1982年に韓国で生まれた女性が生きていく過程で経験する差別や苦悩を描いた韓国映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が10月9日に日本で公開された。この映画は累計販売部数130万部を超えた原作(2016年出版、チョ・ナムジュ著)を映画化したもので、2019年10月に韓国で公開され、累計367万人の観客動員数を記録した。
原作や映画では、女性が育児と仕事を両立することがなかなか難しい韓国企業の風土や儒教に根差す男性優位主義が残存している韓国の家族制度の問題点等を女性主人公の生活を通して語っている。ただし、20代を中心とする若い男性の中には原作や映画に否定的な反応を見せた人も少なくなかったそうだ。もしかすると、彼らは、韓国政府が2000年代半ばから推進してきた女性活躍推進政策等により、過去と比べて労働市場に参入することや企業で昇進・昇格することが難しくなったことを恨んでいるのかも知れない。
実際に韓国における若者の雇用状況はあまりよくない。2020年9月における20~29歳の若者失業率は8・9%で、全体失業率3・6%を2倍以上も上回っている。さらに、20~29歳の男性の失業率は10・1%で、女性の7・6%より2・5%も高い。
韓国政府は女性の雇用拡大及び差別改善を目指して、2005年12月に男女雇用平等法を改正し、2006 年3月 1日から「積極的雇用改善措置制度」を施行した。
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