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2021/10/22

<オピニオン>転換期の韓国経済 第140回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

  • 転換期の韓国経済 第140回                                                       日本総合研究所 向山 英彦 上席主任研究員

    むこうやま・ひでひこ 1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より(株)日本総合研究所勤務、現在調査部上席主任研究員。中央大学経済学部兼任講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など

◆利上げの背景にある家計債務の増加◆

 今年8月26日、韓国銀行が政策金利を0・5%から0・75%へ引き上げた。韓国銀行は米国のテーパリング(量的緩和の縮小)に合わせて利上げする方針を示していたが、その開始前での利上げとなった。この背景に何があるのだろうか。

 韓国では新型コロナウイルス感染拡大の影響で景気が急速に悪化し、昨年の実質GDP成長率はマイナス0・9%になった。数次にわたる補正予算の編成と利下げ(20年3月、5月)効果に加えて、輸出の回復が進んだため、昨年半ば以降景気は上向き、今年は4%程度の成長が見込まれている。景気が回復基調にあるとはいえ、新型コロナウイルス感染の影響が依然として残り、半導体不足や中国経済の減速懸念(恒大集団の債務問題や電力不足による)など、先行き不安材料が多く存在するなかでの利上げであった。


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