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2021/09/03

<オピニオン>曲がり角の韓国経済 第69回  出生率の低下が止まらない韓国                                                       ニッセイ基礎研究所 金 明中 主任研究員

  • 曲がり角の韓国経済 第69回  出生率の低下が止まらない韓国                                                        ニッセイ基礎研究所 金 明中 主任研究員

    キム・ミョンジュン 1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、日本女子大学、横浜市立大学、専修大学非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、韓日社会政策比較分析

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 韓国の合計特殊出生率(以下、出生率)の低下が止まらない。韓国の2020年の出生率は0・84(暫定)で、19年の0・92を大きく下回る見通しだ。出生率が1を下回るのは3年連続のことで、0・84は過去最低値だ。韓国の出生率はOECD平均1・61(19年)を大きく下回り、OECD加盟国の中で最も低い。韓国では20年に生まれた子どもの数は27・2万人で30万人を切ったのは初めてである。20年の大学の入学定員が約47・3万人であることを考えると(4年制大学約31・0万人、短大約16・3万人)、生まれた子どもの数がいかに少ないかが分かる。このままだと今後多くの大学が廃校に追い込まれる可能性が高い(20年の大学進学率は72・5%)。

 地域別の出生率はソウルが0・64で最も低く、釜山(0・75)、仁川(0・81)、大邱(0・81)、光州(0・81)のような大都市の出生率が全国平均を下回っている。一方、出生率が最も高い世宗市の出生率も19年の1・47から20年には1・28まで低下するなど、全地域(第一級行政区画)における出生率が昨年を下回った。


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