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2021/07/30

<オピニオン>韓国経済講座 第240回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

  • 韓国経済講座 第240回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県横浜生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学教授。アジア経済文化研究所筆頭理事・首席研究員、育秀国際語学院学院長

  • 韓国経済講座 第240回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

◆コロナ禍で失ったもの得たもの◆

 新型コロナウイルスの感染拡大を詩人たちはどのように受け止めたのだろうか。「パンデミックの中で詩人たちが見たものとは?世界各地の詩人56名によるコロナ禍をめぐるアンソロジー詩集」として、韓国や香港、欧州など様々な地域の詩人が作品を寄せた『地球にステイ!多国籍アンソロジー詩集』(四元康祐著、クオン)がある。その中で韓国の詩人、金素延(1922年生まれの詩人)の作品が収録されている。

 「薬局に行った、身分証を見せて住民登録番号を入力すると、薬剤師はマスク3枚売ってくれた(略)。祭りが消えた、葬式が消えた、隣の席が消えた」。

 マスクが欠かせないコロナ禍での生活と寂しくなってゆく街の風景を描いている。身分証明書提示、住民登録番号入力などコロナ禍での国民データ管理が充実していることが窺える。でも、マスク3枚は少ないでしょう…。昨年(2020年)の夏のことなのでマスク不足の時かも知れない。後段はコロナが国民生活を奪った様を描く。消えたものは、人命から仕事まで実に多くを失ったことが思い起こされるし、解釈を広げれば、多くのいろいろな信用、人々の支持、諸々の関係など「消えた」ものの領域は広く、深い。

 それでも新しく得たものもある。インターネットを利用した働き方の変化、学校などで活用されているオンライン授業、スマートフォンの普及を背景に、GPS(衛星電波を利用する位置情報システム)、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ブルートゥース(近距離無線通信技術)などの活用の急拡大、またこれらを使ったコロナ感染対策など、かつて限定的にしか見られなかったような新しい変化が表れている。先の金素延の詩でもその情景が目に浮かぶ。

 ところで、コロナ禍により失ったものと得たものを体験する中で、経済面ではどう表れたであろうか?この間予想される大雑把な経済変動は、19年の通常の経済活動水準が20年のコロナ感染拡大で経済活動が全般的に急速に落ち込み、それから21年にわずかながら回復傾向にあるような姿、例えると、「下り急速、上り鈍足(のろあし)」のジェットコースター型といえる。


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