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2021/11/26

<オピニオン>韓国経済講座 第244回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

  • 韓国経済講座 第244回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

    かさい・のぶゆき 1948年、神奈川県横浜生まれ。国際開発センター研究員、ソウル大学経済研究所客員教授、秀明大学教授。アジア経済文化研究所筆頭理事・首席研究員、育秀国際語学院学院長

  • 韓国経済講座 第244回                                                        アジア経済文化研究所 笠井 信幸 筆頭理事

◆無いない尽くし◆

 住宅供給・許可政策の失敗による住宅不足、2020年3月頃薬局で身分証明書を提示して1週間に2枚しか購入できなかったマスク不足、21年6月、政府発表のワクチン確保数1億9300万回分(一人3回分)宣言に対して実際の入荷数は僅か1860万回分、これが起因となったワクチン不足、日本の対韓輸出管理強化によるフッ化水素等3品目不足、そして今度は尿素水不足だ。仕方がないじゃすまない無いない尽くしだ。それでもマスク、ワクチンは時が過ぎれば供給が需要に追いつくが、それ以外は産業政策的課題である。

 なぜ尿素水が不足したのか。尿素水が不足すると誰が、どのように困るのであろうか?この辺から考えてみよう。そもそも尿素水とは何かといえば、尿素と蒸留水を混ぜ合わせた水溶液のことで、特にこれらを黄金(一定)比率で混合させたものが高品位の「アドブルー(AdBlue)」と呼ばれる。そして、ディーゼル車にはこのアドブルーに含まれるアンモニアが車の排気ガスに含まれる窒素化合物を化学反応させて浄化する「尿素SCR(SelectiveCatalyticReduction)システム」が必ず搭載されている。「尿素SCRシステム」とは、アンモニアを使って窒素酸化物(NOx)を減らすための排気ガス浄化システムのことで、軽油などを燃料とするディーゼルエンジンに用いられている。「尿素SCRシステム」は、バス、トラックなどディーゼルエンジン使用車には絶対欠かせないシステムで、したがってこの燃料である尿素がないとディーゼルエンジンがかからない仕組みになっている。ちなみに、国土交通部によると、韓国内の自動車登録台数は21年9月時点で2748万台、そのうちディーゼル車は990万台と36%を占め、日本や米国、中国よりもはるかに高い比率である。しかも韓国のディーゼル車両用尿素の97%が中国産に依存しているのだ。


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