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2022/06/03

<オピニオン>曲がり角の韓国経済 第78回  韓国の貧困・格差の現状と課題                                                       ニッセイ基礎研究所 金 明中 主任研究員

  • 曲がり角の韓国経済 第78回  韓国の貧困・格差の現状と課題                                                       ニッセイ基礎研究所 金 明中 主任研究員

    キム・ミョンジュン 1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。亜細亜大学都市創造学部特任准教授等を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、韓日社会政策比較分析。

◆尹新政権の年金、雇用、若者問題の解決に期待◆

 韓国における貧困と所得格差の問題が深刻化している。韓国の2018年時点の相対的貧困率(以下、貧困率)は16・7%で18年のデータが利用できるOECD34カ国平均の11・7%を大きく上回り、34カ国中で5番目に高い数値を記録した。さらに、同時点における韓国の高齢者貧困率は43・4%でOECD34カ国平均15・3%よりも約3倍も高いことが明らかになった。一方、統計庁の「家計金融福祉調査」による再分配所得ジニ係数は、文政権が誕生する前の16年の0・355から20年には0・331に大きく改善された。しかし、同期間における市場所得基準ジニ係数は0・402から0・405に上昇している。政府からの年金給付、手当、助成金等の給付は増えたものの、大企業従事者と中小企業従事者、正規労働者と非正規労働者、資産を持っている者と資産を持っていない者等の間で所得格差が広がったからである。


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