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2023/03/10

<オピニオン>韓国企業と日本企業 第125回 韓日の関係改善と韓日米の戦略的利益    多摩大学経営情報学部・大学院経営情報学研究科 金 美徳 教授

  • 韓国企業と日本企業 第125回 韓日の関係改善と韓日米の戦略的利益    多摩大学経営情報学部・大学院経営情報学研究科 金 美徳 教授

    キム・ミトク 多摩大学経営情報学部及び大学院経営情報学研究科(修士・博士課程)教授、アクティブ・ラーニングセンター長。1962年兵庫県生まれ。早稲田大学院国際経営学修士・国際関係学博士課程修了。㈱三井物産戦略研究所を経て現職。

◆安全保障と繁栄を保護しルールに基づく国際秩序を強化◆

 韓日米は、ウクライナ戦争やロシア・中国・北朝鮮の脅威を念頭に、2022年11月から経済安保の連携強化を図っている。韓日米は、経済安保の連携強化策の一環として、23年2月27日、米ハワイにて韓日米の審議官級で半導体・電池・重要鉱物のサプライチェーン強化策などについて協議した。また、2月22日、韓日米のイージス艦が、北朝鮮・弾道ミサイルに対処するため日本海で共同訓練を実施した。韓日米の連携強化目的は、共通の安全保障と繁栄を保護すると共に、ルールに基づく国際秩序を強化することである。とりわけ韓日が、関係改善を急いでいる。尹大統領は3月6日、韓日関係改善の突破口を切り開くべく懸案事項の「パッケージ型解決策」を発表した。

 「パッケージ型解決策」の概要は、以下の通り。①元徴用工問題(未払賃金)は韓国政府傘下財団が賠償を肩代わりする。日本企業の財団への寄付は容認する②岸田首相が尹大統領と会談し、「反省とおわび」、「歴史認識に関する歴代内閣の立場」を継承すると表明する③日本政府が半導体材料(フッ化水素・フッ化ポリイミド・レジスト)の輸出規制を解除し、韓国をホワイト国として再認定する。韓国は、WTOの紛争解決手続き・提訴を中断する④韓日首脳のシャトル外交を再開する⑤経団連は、「未来志向」を強く打ち出し、少子高齢化・SDGs・地球温暖化対策や青少年交流の基金創設、韓国全経連との経済分野での共同事業を検討する。

 尹大統領の「パッケージ型解決策」発表直後の日米の反応としては、岸田首相が「韓国は国際社会のさまざまな課題への対応に協力していくべき重要な隣国であり、日韓、日米韓の戦略的連携を一層強化していく必要がある」、バイデン大統領が「画期的な新たな(韓日)協力の幕開けだ。(両国が)重要な一歩を踏み出した」と述べ、韓日米は絶妙な連携プレーを演出した。


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