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2024/09/06

<オピニオン>曲がり角の韓国経済 第105回  韓国における最低賃金に関する議論について   ニッセイ基礎研究所 金 明中 上席研究員

  • 曲がり角の韓国経済 第105回  韓国における最低賃金に関する議論について   ニッセイ基礎研究所 金 明中 上席研究員

    キム・ミョンジュン 1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。亜細亜大学都市創造学部特任准教授等を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、韓日社会政策比較分析。

◆地域・業種別差別化の提案に対して労使間に隔たり◆

 最低賃金を決定する韓国の最低賃金委員会は、2025年度(1~12月)の最低賃金を24年度の9860㌆から1・7%増えた1万30㌆(約1113円、1㌆=約0・11円)に決定したと発表した(8月5日に雇用労働部が最終発表)。韓国の最低賃金が1万㌆を超えたのは1988年の最低賃金制度の導入以来初めてだ。しかしながら、使用者側と労働者側共に来年度の最低賃金の結果に不満な様子を表した。

 韓国経済人協会は7月12日に発表した「25年度最低賃金決定に対する立場」で、「多くの自営業者が経営難で来年の最低賃金の凍結または引き下げを望んでいるにもかかわらず、25年の最低賃金が1・7%引き上げられた1万30㌆に決定されたことについて残念に思う。(中略)今後、最低賃金の合理的な決定のためにも、使用者の支払能力、生産性などを優先的に考慮し、業種別の最低賃金適用など、現実を反映した制度改善案が早急に実現されることを期待する」と言及した。


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