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2024/07/26

<オピニオン>揺らぐサムスン共和国 第125回   国士舘大学経営学部客員教授 石田 賢 氏

◆HBM(広帯域幅メモリー)開発に出遅れたサムスン電子◆

 サムスン電子の今年第2四半期の暫定売上高は、145兆9200億㌆、営業利益17兆100億㌆と前期よりそれぞれ2・9%、57・3%増加した。昨年14兆8795億㌆の営業赤字を出した半導体部門も、この第1四半期には黒字に転じた(図表①)。だが同部門の営業利益率は8・3%と、過去30%前後を達成していた時期と比べるべくもなく、SKハイニックスが上半期に約30%の売上高利益率を達成しているのと比較しても回復力が弱い。

 半導体ビジネスの浮沈は激しく早い。現在注目されているのが米国・エヌビディア(本社:カリフォルニア州サンタクララ、従業員数約3万人)のAI(人工知能)半導体である。AI半導体の頭脳の役割を果たしているのがGPU(画像処理装置)で、データを保存して早く転送するのがHBM(広帯域幅メモリー)である。このためDRAMの中でもHBMへの需要が急拡大している。HBMは高付加価値製品であり、通常のDRAM価格より5倍高く、マージン率も50~60%/個に達する。台湾の市場調査会社トレンドフォースによると、今年のHBM市場規模は、昨年の6兆㌆から4倍増の24兆㌆に拡大し、2030年には50兆㌆にまで拡がると予測している。


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