ここから本文です

2024/05/24

<オピニオン>転換期の韓国経済 第171回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師 

  • 転換期の韓国経済 第171回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師 

    むこうやま・ひでひこ1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より22年まで(株)日本総合研究所勤務。中央大学経済学部非常勤講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第171回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師

◆輸出主導で景気回復進む韓国◆

 4月10日に実施された総選挙で、政権与党「国民の力」が敗北した。多くの要因が指摘できるが、経済的要因としてはインフレと金利の急上昇によって生活が厳しくなったことがある。尹政権が財政健全化を優先して、生活支援を目的にした補正予算を組まなかったことも影響した可能性がある。

 CPI(消費者物価指数)上昇率は2021年1月の0・9%(前年同月比)から22年7月に6・3%へ加速し、その後しばらく5%台で推移した。加速するインフレ抑制のために、21年7月から1年半の間に政策金利が0・5%から3・5%に引き上げられた。

 短期間に急激に引き上げられた影響はまず住宅市場に表れた。ソウル首都圏の住宅価格が23年初めにピーク時から20%以上下落した。また、韓国全体の住宅建設許可件数が22年12月から今年3月まで前年割れが続いているように、建設投資が冷え込んだ。つぎに、消費の減速である。民間消費はコロナ禍での落ち込みからの回復の流れを受けて22年に4・1%伸びたが、23年はインフレと金利の急上昇に伴う債務返済負担の増大などの影響により1・8%へ低下した。


つづきは本紙へ


バックナンバー

<オピニオン>