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2024/07/19

<オピニオン>転換期の韓国経済 第173回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師 

  • 転換期の韓国経済 第173回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師 

    むこうやま・ひでひこ1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より22年まで(株)日本総合研究所勤務。中央大学経済学部非常勤講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第173回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師

◆岐路に立つ北の核開発に対する抑制◆

 韓国と日本にとって北朝鮮の核開発と相次ぐミサイル発射は安全保障上の大きなリスクである。金正恩は最高指導者に就任後4回の核実験を実施した。これに対して国連安保理は北朝鮮に対する経済制裁を相次いで決議してきたが、必ずしも十分な効果を上げていない。さらにロシアのウクライナ侵攻後、米ロの対立によって国際協調の枠組みが崩れたばかりでなく、最近になりロシアと北朝鮮が包括的戦略パートナーシップ条約を締結するなど、北朝鮮の核開発を抑制する取り組みは岐路に立たされているといえよう。

 まず、北朝鮮に対する制裁の効果が限定的にとどまっていることを指摘したい。これまで北朝鮮の主力輸出品である石炭や鉄鉱石、繊維製品の輸入を順次禁止する一方、北朝鮮への奢侈品、特定兵器、原油・輸出製品などの輸出を制限してきたが、十分な効果を上げているとは言えない。その理由としては、様々な方法(産地偽装や洋上取引、第三国を経由した取引など)で制裁を回避していることに加え、そうした密輸ネットワークに対する取り締まりの難しさが指摘できる。


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