ここから本文です

2024/09/20

<オピニオン>転換期の韓国経済 第175回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師 

  • 転換期の韓国経済 第175回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師 

    むこうやま・ひでひこ1957年、東京生まれ。中央大学法学研究科博士後期課程中退、ニューヨーク大学修士。証券系経済研究所などを経て、2001年より22年まで(株)日本総合研究所勤務。中央大学経済学部非常勤講師。主な著書に「東アジア経済統合への途」など。

  • 転換期の韓国経済 第175回                                                   中央大学経済学部 向山 英彦 非常勤講師 

◆急速に進んだ日韓関係の改善◆

 一時期戦後最悪とまで評された日韓関係が2023年に入って急改善した。懸案の一つであった元徴用工訴訟問題に関して尹錫悦政権が3月に示した解決策が、日本政府の従来の見解(1965年の「対日請求権協力協定」で解決済み)と整合的であったからである。

 尹政権が関係改善に乗り出した背景には、①米中覇権競争が激化するなかで、米国政府が同盟国である韓国と日本との関係改善を求めたこと、②バイデン政権の対中規制強化に対応するうえで、日本との協力が必要になったこと、③関係改善による韓国経済へのプラス効果を期待したことがある。その後、日本政府が対韓輸出管理の厳格化を解除する一方、韓国政府が世界貿易機関への提訴を取り下げた。シャトル外交や二国間のスワップ協定に続き、今年7月には防衛当局の実務者対話を再開するなど、予想を超えるスピードで関係の正常化が進んだ。


つづきは本紙へ


バックナンバー

<オピニオン>