◆急速に進んだ日韓関係の改善◆
一時期戦後最悪とまで評された日韓関係が2023年に入って急改善した。懸案の一つであった元徴用工訴訟問題に関して尹錫悦政権が3月に示した解決策が、日本政府の従来の見解(1965年の「対日請求権協力協定」で解決済み)と整合的であったからである。
尹政権が関係改善に乗り出した背景には、①米中覇権競争が激化するなかで、米国政府が同盟国である韓国と日本との関係改善を求めたこと、②バイデン政権の対中規制強化に対応するうえで、日本との協力が必要になったこと、③関係改善による韓国経済へのプラス効果を期待したことがある。その後、日本政府が対韓輸出管理の厳格化を解除する一方、韓国政府が世界貿易機関への提訴を取り下げた。シャトル外交や二国間のスワップ協定に続き、今年7月には防衛当局の実務者対話を再開するなど、予想を超えるスピードで関係の正常化が進んだ。
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