大邱近郊の慶尚北道・清道郡で現地特産の柿を使ったワインが製造されている。大統領府の各国大使館への贈呈酒にも選定された柿ワインは、甘口でさっぱりとして飲みやすい。
日本の植民地時代に使われていた全長1015㍍の鉄道トンネルの跡地にワイナリーが設けられ、そのうちの約600㍍部分にワインを寝かせてある。トンネル内はワインの熟成に適した15~16度の温度、約60~70%の湿度に年間を通じて保たれている。トンネルは、かつて日露戦争による軍需輸送のため、釜山とソウルを結ぶ京釜線として使われた。ワイナリー入り口には、「代天成功・明治三十七年(1904年)」と刻まれた石碑が残っており、観光名所であると同時に歴史の現場にもなっている。最近では、ワインをテーマにした韓国ドラマ「テロワール」のセットにも使われ、韓国内だけでなく日本や中国などからの観光客も増えている。(浮ヶ谷一憲)