今年の青龍映画賞で、最も熾烈な競争となった主演男優賞は「犯罪との戦争」の崔岷植が選ばれた。「オールドボーイ」に次ぐ受賞だ。

　映画の舞台は1980年代の釜山。解雇寸前の悪徳税関職員と暴力団の若手ボスが手を組み、生き残りをかけて熾烈な戦いを繰り広げる物語だ。韓国を代表する演技派俳優の崔岷植と河正宇の共演とあって注目を集めたが、期待を裏切らない演技で大ヒットにつながった。作品ごとに存在感を増す崔は悪徳税関職員に扮し、生きることに貪欲な人物を演じた。

　主演女優賞は「私の妻のすべて」の林秀晶(イム・スジョン)が受賞。夫を離婚させたい気持ちにさせる小言ばかり言う妻として、またカサノバ的な浮気者まで屈服させる人妻としての演技が評価された。

　最優秀作品賞には、金基徳監督の「ピエタ」が選ばれた。国内の観客動員は60万人にとどまったが、1000万人を突破した「王になった男」を退けた。興行性より芸術性と社会問題作を選んだ格好だ。