在日2世のヴァイオリニスト・丁讃宇さんが7日、東京・四谷の紀尾井ホールで「ジョン・チャヌ(丁讃宇)ヴァイオリンリサイタル パリ コンセルヴァトワール 70
年代の香り」を開いた。
韓国から帰国後、初の本格リサイタルとなる。丁さんは同リサイタルをスタートに、在日楽団結成とクラシックの演奏活動に本腰を入れる計画だ。
7日のリサイタルで披露されたのは、ミヨーの「ヴァイオリンソナタ第2番」、ベートーベンの「ヴァイオリンソナタ第7番」、フランクの「ヴァイオリンソナタ」など、ヴァイオリンソナタの不朽の名作といわれる曲ばかりだ。ビフテキとトンカツが同時に並べられたような豪華さで、760人の聴衆も大満足という表情であった。
アンコール曲には、南北分断の悲劇をテーマにした「イムジン河」を選び、「一日も早く人々が南北自由往来出来るように」との願いを込めて演奏、会場の大きな拍手を浴びた。
丁さんは音楽家となって以後、ソウルの国立交響楽団、KBS交響楽団などで演奏活動を行う一方、延世大学で教鞭をとっていたが、韓国での音楽生活を整理して今年3月、17年ぶりに帰国した。
その理由を、「韓日の長所を取り入れた繊細かつパワフルで、しかも日本社会という荒波・逆境を生き抜いた在日の思いを伝える音色を作り出したいからだ」と答えていた。
南北頂上会談直前の6月8日には、朝鮮籍で在日2世の指揮者・金洪才さんとともに「ユニティコンサート|15年目の熱い思い」を開催。在日の統一への熱い思いを、音楽で表現していた。
一方で丁さんは、クラシック演奏家としての活動も積極的に再開。今回のリサイタルとなったものである。今後は年に1回か2年に1回、リサイタルを開き、クラシックの魅力を伝えていきたいとしている。
在日の音楽を伝える合奏団結成にかんしては、すでに在日のピアニストやヴァイオリニスト、指揮者などに話しかけている。「南北統一コンサートを、日本全国で開きたい。来年から本格的な活動をスタートさせる」予定だ。イムジン河を収録したCDも発売して、統一への思いを伝えていく。
また、現役の声楽家である駐日韓国大使夫人とともに、12月に千葉でチャリティー公演、来年5月には東京でジョイントコンサートを予定している。丁さんは「音楽で韓日友好や南北和解を表現できたらすばらしい。日本社会への話題作りにもなる。ぜひ成功させたい」と話す。