南北2団体に交流の動き
シドニー五輪で正式競技に採用された、韓半島生まれの格闘技テコンドー。日本でも各地に道場があるが、岡本依子選手(女子67㌔級)が銅メダルを取ったことで、脚光を浴びている。テコンドーは日本に韓国系と北朝鮮系と二つの団体があるが、五輪で正式採用されたのは韓国系列。テコンドーの発展、そして何より選手のために協力できる道を模索すべきとの声が日本の関係者から出ている。
テコンドーは、韓国固有の護身術として2000年の歴史を持つ。空手と似ているが、足技に重点が置かれているのが特徴である。現在160カ国で約3000万人が習っているといわれる。
韓国にテコンドー留学する選手も多く、岡本選手もアルバイトでお金を貯めて、オリンピック前に半年間韓国にテコンドー留学。本場で力をつけたのが銅メダルに結びついた。
このテコンドーをめぐっては、複雑な歴史がある。世界には現在、韓国系の組織である世界テコンドー連盟(WTF)と北朝鮮系の国際テコンドー連盟(ITF)の二つがある。世界選手権などは別々に開催されており、試合のルールや装備にも違いがある。
もともとテコンドーの団体を作ったのは、現ITFの総裁であるチェ・ホンヒ氏(82)である。チェ氏は現在の北朝鮮生まれで韓国で育った。1966年に国際テコンドー連盟をソウルに設立。しかし、朴大統領(当時)の大統領再選に反対してカナダに亡命。その時に国際テコンドー連盟本部もカナダに移転したのである(現在はオーストリアのウィーンに本部がある)。
一方、韓国ではチェ氏の亡命直後に世界テコンドー連盟を創設した。同年、世界16カ国が参加する第1回世界選手権を開催。80年には国際オリンピック委員会(IOC)の加盟団体として認可された。
88年のソウルオリンピックではエキシビション競技、その後アジア大会で正式競技となり、今回のシドニーオリンピックで正式競技となったのである。
この20年間で急速に発展したわけだが、それにはWTF総裁でIOC理事でもある金雲竜理事の力が大きかったと言われている。
このような経過があるために、これまで分裂状態を修復するのは難しく、日本でも二つの系列に分かれている。WTF系列の日本テコンドー連盟(JTF)と、ITF系列の日本国際テコンドー協会(JITF)である。それぞれに道場を持ち、それぞれに日本選手権を行っている。テコンドーのクラブがある大学でも、日本大学や大東大はWTF系列、早稲田大学や中央大学はITF系列とややこしくなっている。
しかし、一方の系列の選手だけがオリンピックに出場出来るのは公平とは言えず、韓半島で南北交流が進む中、テコンドーも交流の道を探せないかとの声が出ている。
JITFの黄進理事は「ルールの統一は難しくない。オリンピックルールに合わせることも可能だと思う。WTFとITFで何とか話をしてほしい。まずJITFの選手が、オリンピック選考会に出られるようになればと思う。南北和解が進むいま、テコンドーが一つになるのは難しくないはずだ」と話す。
JTF内部でも「ルールの整備は難しくないし、スポーツに国境はない。打開の道はあるはずだ」との声があがっている。
アテネでも正式競技となることが有力なテコンドー。オリンピック代表を目指す在日選手もいる。WTFとITFの交流を期待したい。
テコンドーは、韓国固有の護身術として2000年の歴史を持つ。空手と似ているが、足技に重点が置かれているのが特徴である。現在160カ国で約3000万人が習っているといわれる。
韓国にテコンドー留学する選手も多く、岡本選手もアルバイトでお金を貯めて、オリンピック前に半年間韓国にテコンドー留学。本場で力をつけたのが銅メダルに結びついた。
このテコンドーをめぐっては、複雑な歴史がある。世界には現在、韓国系の組織である世界テコンドー連盟(WTF)と北朝鮮系の国際テコンドー連盟(ITF)の二つがある。世界選手権などは別々に開催されており、試合のルールや装備にも違いがある。
もともとテコンドーの団体を作ったのは、現ITFの総裁であるチェ・ホンヒ氏(82)である。チェ氏は現在の北朝鮮生まれで韓国で育った。1966年に国際テコンドー連盟をソウルに設立。しかし、朴大統領(当時)の大統領再選に反対してカナダに亡命。その時に国際テコンドー連盟本部もカナダに移転したのである(現在はオーストリアのウィーンに本部がある)。
一方、韓国ではチェ氏の亡命直後に世界テコンドー連盟を創設した。同年、世界16カ国が参加する第1回世界選手権を開催。80年には国際オリンピック委員会(IOC)の加盟団体として認可された。
88年のソウルオリンピックではエキシビション競技、その後アジア大会で正式競技となり、今回のシドニーオリンピックで正式競技となったのである。
この20年間で急速に発展したわけだが、それにはWTF総裁でIOC理事でもある金雲竜理事の力が大きかったと言われている。
このような経過があるために、これまで分裂状態を修復するのは難しく、日本でも二つの系列に分かれている。WTF系列の日本テコンドー連盟(JTF)と、ITF系列の日本国際テコンドー協会(JITF)である。それぞれに道場を持ち、それぞれに日本選手権を行っている。テコンドーのクラブがある大学でも、日本大学や大東大はWTF系列、早稲田大学や中央大学はITF系列とややこしくなっている。
しかし、一方の系列の選手だけがオリンピックに出場出来るのは公平とは言えず、韓半島で南北交流が進む中、テコンドーも交流の道を探せないかとの声が出ている。
JITFの黄進理事は「ルールの統一は難しくない。オリンピックルールに合わせることも可能だと思う。WTFとITFで何とか話をしてほしい。まずJITFの選手が、オリンピック選考会に出られるようになればと思う。南北和解が進むいま、テコンドーが一つになるのは難しくないはずだ」と話す。
JTF内部でも「ルールの整備は難しくないし、スポーツに国境はない。打開の道はあるはずだ」との声があがっている。
アテネでも正式競技となることが有力なテコンドー。オリンピック代表を目指す在日選手もいる。WTFとITFの交流を期待したい。