民団、総連、トップ会談実現を
朝鮮総連の代表団がこのほど在日韓国民団を訪れ、4項目の交流に関する提議書を渡した。民団側は前向きな検討を約束。遅ればせながら、民団と総連の交流がスタートする可能性が出てきた。しかし在日社会では、「本当に交流をする気があるのか」「決断が遅すぎる」との批判が出ている。在日社会の分断は、解消できるだろうか。
8月末、民団中央本部を訪ねたのは、朝鮮総連の南昇祐・副議長、梁寿正・国際統一局長ら3人。民団中央からは具文浩副団長と朴性祐・平和統一推進委員会委員長、河政男・組織局長など4人が対応した。
総連代表は、「南北共同宣言履行に共に立ち上がろう」との4項目に渡る提議書を提出した。4項目は①各界各層の在日同胞が集い、歴史的な共同宣言を支持し、その履行を促す共同イベントなどの共催②在日同胞の生活安定と民族的権利擁護ための相互扶助活動を共に展開③在日同胞社会で民族性を継承していく活動を共に論議④総連と民団の間の和合と交流のため、両団体の中央本部間の協議機構を早期に設置するというもので、民団中央も基本的に賛意を示した。
この間、南北頂上会談が開かれた直後の6月15日に、民団が記者会見で「総連との交流を進める」と発表したが、総連では「正式な申し入れはない」として拒否した経緯がある。
その後も地方レベルでの民団、総連の交流は行われていたものの、中央レベルではなかっただけに、今回の突然の提議書発表を意外と受けとめる声も多い。朝日国交交渉で訪れた北側代表が、23日に初めて朝鮮総連中央本部を訪れたが、その翌日に総連代表が民団を訪問したことに、「在日も交流を進めるように」と北からの圧力があったと見る向きも多い。
フリージャーナリストの姜誠さんは「北の意向もあるだろうが、交流を進めるべきとの声が地方で高まっていることも大きいのでは」と話す。
民団と総連は過去、激しい対立を繰り返してきた。60年代初、当時のチョ寧柱・民団中央団長と韓徳洙・総連中央議長のトップ会談が持たれたことはあるが、続かなかった。その後、自主・平和統一をうたった南北共同声明が発表された72年でさえも、民団と総連が共同で祝賀大会を行うことはなかった。
本来なら4月の南北頂上会談合意が発表された直後から、民団と総連とも交流の準備を進めるべきで、「いつまで本国の後追いなのか」との批判は、民団系同胞、総連系同胞ともに強い。
12日の秋夕(旧盆)前後には、先日の南北閣僚級会談で合意した総連系活動家の母国訪問団も行われる予定で、高齢者を中心に50人ほどのメンバー編成が進んでいる。民団