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2000/08/04

<在日社会>民団系同胞の北朝鮮訪問も実現を  総連系「韓国訪問」受け

 南北閣僚級会談で、朝鮮総連所属の韓国地域出身者の故郷訪問団が実現、15日の光復節(祖国解放記念日)か今月末に墓参のため訪韓することが決定した。南北和解の精神に乗っ取って韓国側が受け入れを受諾したものだが、民団系同胞の間では、次は韓国系同胞の北訪問も自由にすべきだとの声があがっている。

 在日社会から要望

 今回の朝鮮総連系同胞による韓国訪問団の話は、6月の南北頂上会談直後からあがっていた。朝鮮総連に所属する1世たちから「私たちも離散家族ではないか。故郷の親兄弟に会いたい」との声があがり、朝鮮総連が北に要請を行っていた。

 閣僚級会談での北の提案に対し、当初はとまどいを見せた韓国側も、「幅広く考えれば離散家族問題であり、北側に誠意を示すほうがよい」(政府関係者)との判断で、合意に至ったものだ。

 朝鮮総連では「総連系同胞の98%が韓国出身だ。国家保安法により朝鮮総連が利敵団体と規定されているため、これまでは故郷へ行けなかったが、首脳会談で超法規的な合意が実現して障害がなくなった」(徐萬述・朝鮮総連第1副議長)として、訪問団を結成する準備を進めている。

 8月15日前後に訪問団を向かわせたい意向で、韓国大使館と連絡を取り合って入国時期を決める予定だ。規模、人選については内部調整を進めているが、韓国に家族がいる1世中心になる見込みだ。規模は未定だが、解放55周年に合わせて55人になるとの観測もある。

 日本で総連活動を行ってきたために、父母兄弟と50年間対面がかなわなかったノ・ウンさん(73)は、大邱に暮らす95歳の母との再会を心待ちにしている。ノさんは川崎市在住で、昨年結成された川崎高麗長寿会の会長。同会が訪問実現を真っ先に総連中央に訴えたものだ。

 一方、韓国の報道によると、訪問団は300人、時期は秋夕(陰暦の8月15日、今年は9月12日)前の今月28、29日の2日間に分けてソウルの金浦空港から入国、ソウル市内観光、慶州・仏国寺や浦項製鉄などを見学した後、親族との対面、墓参りが行われるとのことだ。

 朝鮮総連系同胞の韓国訪問については1975年に墓参団が始まり、これまで25年間に約6万人が訪韓、今年も秋夕の時期に合わせて250|300人が訪韓予定だ。朝鮮総連では、同墓参団を組織破壊につながるとして非難してきた経緯がある。ある総連系同胞は、「韓国へ行きたい人は、これまで大部分が行った。今回の訪問団は総連の活動家中心に構成されるだろう」と話す。

 一方、今回の合意が総連系同胞の韓国訪問だけで、民団系同胞の自由な北朝鮮訪問が合意されなかったことに疑問の声もあがっている。

 李進煕・和光大学名誉教授は「離ればなれの家族に会いたいのは、人間として自然な感情だ。総連の活動家であるがゆえに故郷へ行きたくても行けなかった人が、行けるようになったのは一つの前進」としつつ、「民団系の同胞には、北への帰国事業で親族が帰った人がいる。消息のわからない人もいるし、北で会う事が出来ても、立会人がいて自由に話せない例が多い。これも一種の離散家族で、自由に会えるようになるべきだ」と強調する。

 金敬得弁護士は、「本来ならば南北首脳会談時に民団と総連が共同で、南北自由往来を求める声明を出すべきだった。それでも少しでも先に進んだのはよいことだ。韓国政府は段階的に民団系同胞の北側訪問も推進していくとしている。次は北が往来を認める番だ」と話す。