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2001/01/01

<在日社会>21世紀にはばたく

38度線で防衛戦実現へ
WBCスーパーフライ級世界チャンピオン・洪昌守さん

 朝鮮籍の在日3世。東京朝鮮高級学校入学後、ボクシングを始めた。アマ時代の戦績は12勝5敗。卒業後、単身大阪へ行き、プロボクサーの道を歩む。昨年8月のWBCスーパーフライ級世界タイトルマッチで、チャンピオンのチョ・インジュ(韓国)と対戦、世界初挑戦で王座に輝いた。
 新王者となった瞬間、統一旗をはおりマイクを握って「朝鮮は一つ」を3回叫ぶと、会場に詰め掛けた在日同胞応援団から大歓声が起きた。
 「同胞の応援が大きな力になった。勝ったら朝鮮は一つと叫ぶつもりだった」
 リング名は徳山昌守だが、本名は洪昌守と公言しており、在日を明らかにした初の世界王者となった。
 「在日としての誇りを持って生きている。(試合を通して)同胞の青年たちに勇気と希望を与えることが出来たらうれしい」
 12月には名護明彦と対戦、判定勝ちで初防衛に成功した。「相手の長所を封じて試合を進めるのが自分のボクシング。勝つ自信はあった」と振り返る。今春にはチョ・インジュとの再戦が予定されている。
 「スポーツはまず自分に勝つこと。苦しいときほど達成したときの喜びがある。再戦も必ず勝つ」と話す。38度線での防衛戦実現、そして祖国の統一を見るのが夢だ。同じ在日の婚約者との結婚も控えている。東京出身、金沢ジム所属。26歳。

Kリーグに選手排出したい
在日大韓蹴球団キャプテン・李根錫さん。

 昨年12月に発足した「在日大韓蹴球団」のキャプテンを務める。同団は、KリーグやJリーグで通用する在日サッカー選手を発掘するのが目的。今年3月には、韓国の大統領杯にも出場する。
 サッカー選手だった父の影響で、小さいときからサッカーを始める。「アジアの虎」と恐れられた韓国チームにあこがれ、小学校卒業後、韓国へサッカー留学した。
 「入部初日に1対1のプレーをやって、一度もボールにさわれずに負けた。自信がくじかれたし、言葉の問題もあって、すぐに日本に帰りたいと思った」
 パワーでは負けるのでテクニック重視の練習に打ち込み、2年生で準レギュラー、3年生でレギュラーを獲得した。卒業後、日本の高校サッカーの名門、帝京高校に進む。高校3年の時に全国優勝。その後、大学、社会人でプレーするが、ひざのケガで一線を退く。同団の結成を聞いて、参加を決意した。
 「韓国へのサッカー留学や日本でのプレー経験を生かして、後輩達を育てる。韓国のパワー、精神力と日本のテクニック、組織プレーをミックスしたチームを作りたい」と話す。東京出身、27歳。