ニューヨークの世界貿易センタービルに旅客機が突っ込んだ史上最悪のテロ事件。数千人から1万人の人名が犠牲になったと見られる。貿易センタービル内には金融企業など韓国企業も多数入居しており、35人以上が連絡がつかない状態だ。また周辺には韓国人商店街があり、そこでも大きな被害者が出たもようだ。
世界貿易センタービルには世界の900を越す企業が入居しており、LG証券、東遠証券、現代証券など証券会社5社、LG保険、韓国投資信託、地方自治体国際化財団、京畿道投資誘致事務所など、それに多数の韓国人経営の個人事務所が入居している。
衝突後、多くの職員がすぐにビルを脱出したが、ニューヨーク総領事館などによると、連絡がつかない韓国人が35人以上いる(12日現在)。行方不明者の中には、LG火災米国支店の具ボンソク支店長をはじめ、米国留学中に韓国企業でバイトをしていた韓国人留学生や貿易センターに個人事務所を持つ米国籍の1.5世や2世たちが含まれていると見られる。
LG証券の李ドンフン課長(35)は、貿易センタービル北棟タワー84階の事務室で事件に遭遇、衝突による煙と炎が立ち込めて視界がさえぎられる中、1時間かけて非常階段を降り、崩壊寸前にビルから脱出、間一髪で命が助かった。
李さんは「衝突で吹き飛ばされた人、窓ガラスを割って飛び降りる人もいた。人生で最も長い1時間だった」と話した。
また同ビル周辺にはコリアタウンがあり、花屋、ドライクリーニング店、スーパーマーケット、果物屋、韓国料理店などの商店街が密集している。通信と交通手段がまひしているため安否の確認は出来ていないが、被害は避けられない見通しだ。
総領事館、韓人会などは引き続いて安否の確認作業を行っている。
一方、被害者が収容されたエルムハースト病院では地元住民に献血を呼びかけ、近隣に住む韓国系住民ら1000人以上が呼びかけに応じて集まった。しかし被害者があまりに多いため、献血が間に合わない状況が続いている。
韓国からは家族や親類の安否を気づかう電話が米現地に殺到しているが、回線がつながらないために不安がつのっている。電話の復旧も時間がかかる見通しだ。
世界貿易センタービル南タワーに衝突したユナイテッド航空の旅客機には、ボストン大学医学部の金ジス教授が乗っていた。
金教授は米国生まれの在米韓国人で幼いころに両親と死別。バークレー校医学部を卒業後、ボストン大学医学部で博士学位を取得。その後同大学の教授となり、遺伝子工学分野を研究していた。4年前にコンピューター会社の副社長ピーター・ヘンソン氏と結婚し、2歳の娘クリスティンがいた。
家族3人でロスのコリアタウンに暮らす金さんの祖母宅に向かう途中の悲劇だった。
夫のハンソンさんは旅客機が貿易センタービル激突する前、携帯電話で父親に「スチュワーデスがナイフで刺された。おそらく他の所へ向かうだろう」と知らせている。
一方、北タワーに激突したアメリカン航空旅客機には、李という姓の乗客8人がいたことが確認された。韓国総領事館では、ほとんどが韓国人ではないかと見ている。