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2001/10/19

<在日社会>焼き肉業界狂牛病対策 新メニュー開発に注力

  • zainichi_011019.jpg

    焼肉業者が集まり、緊急勉強会も開かれた(13日、都内で)

 日本で初めて狂牛病が発見されてから約1カ月。牛肉をメインとした焼き肉料理店は客の減少に悩み、牛肉料理以外のメニュー開発などで打開を図っている。また18日からは食肉処理場で解体される牛の全頭検査が始まり、安全な牛肉確保への期待も高まっている。現況を追った。

 在日従事者が多い焼き肉業界が、いま苦境に立っている。

 東京、神奈川、大阪などのコリアタウンにある焼き肉店は、客足の減少が目立っている。「牛角」「安楽亭」「叙々園」などの焼き肉チェーンも苦戦中だ。

 全国焼肉協会によると、10月上旬の売上が前年同期の50%以下に落ち込んだと回答した店が44社にものぼる。9月よりも10月はさらに深刻になっているが、これは2頭目の狂牛病騒動が大きく作用している。「このままでは人件費も出なくなる」との悲鳴が上がっている。

 焼き肉店だけではなく、スーパーでの牛肉の売上も50%以上減っている。社員食堂や街のレストランなどでも、牛肉以外の定食を用意する店が増えている。ハンバーガー大手のマクドナルドも、前年同期で10%売上が減少している。

 牛肉料理のすばらしさを述べた料理本なども販売が落ち込んでおり、雑誌や新聞で焼き肉特集を控える出版社も出ている状態だ。

 「牛角」を事業展開するレインズインターナショナルは、米国産、オーストラリア産の牛肉中心で、和牛はこれまで3-4%の使用にすぎなかったが、消費者の不安を取り除くため、9月末、和牛の使用を全面的に見合わせることに決定した。今月19日からは特別値下げセールを実施し、客確保に全力を尽くす。

 「安楽亭」は、穀類で飼育された米国産、オーストラリア産、国内産の牛肉100%を使用し、「動物性飼料は一切使用していない」ことを宣伝。「叙々園」は、穀物飼料だけで飼育された黒毛和牛だけを使用していることをアピール。

 牛肉以外の肉を利用したメニュー開発にも、各業者は注力する方針だ。豚肉とキムチを中心にした料理、タッカルビなど鶏肉使用の料理メニューを増やし、さらに韓国家庭料理のメニューも一部取り入れていくことが話し合われている。

 韓国料理研究家の鄭大聲・滋賀県立大学教授は、「焼き肉業界は協力して情報交換、牛肉以外のメニュー開発の共同研究などを行い、顧客回復に励んでほしい。狂牛病については、食文化の原点に立って、この80年間行われてきた肉骨粉の使用を全面的に中止することが大切だ」と話す。