韓日合作映画「GO」が、このほど完成した。在日青年を主人公にした青春映画で、在日3世の作家・金城一紀の原作を映画化した作品だ。10月に東映系で全国公開され、韓国では11月に公開予定。在日を主人公にした映画が韓日で全国ロードショーされるのは初めてのことだ。
映画の原作となった金城一紀の「GO」は、一人の在日韓国人青年が悩み傷つながら、次第に成長する姿を描いた青春娯楽小説だ。発売以来、高い人気を集めて発行部数15万部を記録。第123回直木賞に輝いた。
主演は若手人気俳優の窪塚洋介、相手役に柴咲コウ、主人公の父親役に山崎努、同じく母親役に大竹しのぶ、韓国からはベテラン俳優のミョン・ケナム、若手スターの金ミンと個性豊かなキャストがそろった。監督は行定勲、脚本は宮藤宮九郎。
製作発表に韓日のマスコミ300人が集まるなど注目の中で撮影が始まり、特に「在日」をどう描くかということは、スタッフ、俳優にとって大きな挑戦となった。
主役の窪塚さんは製作発表の記者会見で、「一番大きな問題は、僕がジャパニーズで杉原がコリアンジャパニーズだということ。差別の問題は個人的な問題だと思うので、冷静でいられることがベストだと思う」と語り、役作りのために民族問題の本などを何冊も読んで勉強したことなどを話した。
その言葉通り、国籍や恋、友情に悩みながらも、「明るくクールに生きようとする在日」を熱演している。「在日」であることを日本人の恋人に告白するシーンに、自らをだぶらせる在日も多いだろう。
主人公が韓国語を話したり、民族学校の授業風景を描くシーンでは、撮影助手などスタッフの在日から意見を聞き、発音を教わった。その成果が生かされ、窪塚は在日らしい韓国語を披露。民族学校のようすも雰囲気が伝わる。
脚本の宮藤さんは「『在日』ということを現実の一つとしてさらっと描こうと思った。国籍の問題ばかり前に立つより、いろんな人たちがそこに生きている姿を描こうと考えた」と話す。
「どうして何の疑問もなく『在日』なんて呼べるんだ」「国境線なんかオレが消してやるよ」との主人公の言葉は、在日の問題をあいまいにしてきた日本社会、過去を引きずってきた在日社会への強い問いかけになっている。