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2001/08/03

<在日社会>国籍条項撤廃 政令指定都市9、都道府県11

 川崎市が初めて一般行政職の国籍条項を撤廃して以来、これまで都道府県で国籍条項を撤廃したのは11、政令指定都市は9つになる。撤廃の動きは今後さらに広がる見込みだ。

 高橋清・川崎市長が一般行政職の国籍条項撤廃を発表したのは97年4月。その後、現在までに政令指定都市は神戸市、大阪市、横浜市、名古屋市、札幌市、仙台市、広島市、京都市が制限付きながら国籍条項を撤廃した。

 保留しているのは千葉市、北九州市、福岡市の3市だが、現在3市とも撤廃を前提にした昇進などの制限事項を検討中で、来年中には撤廃されるものと見られる。浦和市、大宮市、与野市が合併して新たに政令指定都市となるさいたま市は、与野市がすでに撤廃、浦和、大宮が撤廃をしていなかったため3市で話し合いを持ったが、結論が出ずに保留状態だ。

 都道府県では沖縄、高知、大分、鳥取、大阪、奈良、滋賀、三重、愛知、神奈川、岩手の11が国籍条項を撤廃している。最近撤廃したのは愛知県で、今年度に実施する2002年度採用試験から撤廃。また長野県は田中康夫知事が「早期に撤廃したい」との意向を表明している。

 「全国自治体における在日外国人の採用・就職実態調査」を86年から5年に1度行ってきた「在日外国人の公務員採用を実現する東京連絡会」の水野精之さんは、「一般の市町村などでも撤廃の動きは広がっており、今後さらに門戸開放されていくだろう。今年第4回目の調査を行う予定なので、来年春には実態が報告できると思う」と話す。


 国籍任用差別裁判 最高裁の判決待ち

 東京都の管理職試験を国籍条項を理由に受験できなかったのは任用差別として訴えた東京都の保健婦・鄭香均さんの裁判は、96年11月に鄭さんが高裁で逆転勝訴した後、都が最高裁に上告した。他の案件が次々と判決が出るなか、昨年末に最高裁判決が出るとの観測が流れたが、現在まで裁判所からの通達はない。

 鄭さんは「外国人の地方参政権獲得問題など、世間の動きを見ているのではないか。国籍条項撤廃の流れは変えられないはず。一日も早く判決を出してほしい」と訴える。