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2001/07/27

<在日社会>韓日合作映画の製作好調

 歴史教科書問題などで韓日関係はぎくしゃくしているが、映画の世界では韓日合作が盛んに行われ、新たに撮影に入る作品もある。製作のようすを追った。

 在日3世の新人作家、金城一紀の第123回直木賞受賞作「GO」は、在日の青年が家族とのかっとうや恋愛などを通じて成長する物語。東映による映画化で主演に窪塚洋介、父親役に山崎努、母親役に大竹しのぶという豪華な配役だ。

 先ごろ撮影が完了し、10月の韓日同時公開に向けて現在編集作業を進めている。窪塚は在日韓国人やアジアに関する本・ビデオを見て勉強し、記者会見でも在日や差別の問題について発言した。

 東映は全国拡大ロードショーを予定しており、在日が主人公の作品としては初めての快挙になる。

 在日作家、梁石日さんの小説「夜を賭けて」の映画化も撮影が進行中だ。大阪の朝鮮人密集地を舞台に、戦後をたくましく生き抜く在日を描いた作品。主人公の青年とその父親役は先日オーディションで選ばれ、どちらも在日の新人が選ばれた。父親役はパチンコ店の経営者で、経営を親類にゆだねて撮影に参加している。青年役は俳優志望の在日3世。

 同作品は資金が在日の会社アートン、監督が在日2世の金守珍と、在日による映画作りとなる。2002年10月に韓日同時公開を予定している。

 松竹は9月公開予定の「純愛譜(スネボ)」に続き、「春の日は過ぎゆく」の製作を先日ソウルで発表した。韓国映画の輸入にも力を入れており、イルマーレ、リベラ・メなどの人気作品を夏以降相次いで上映する計画だ。

 他の映画会社に負けじと、東宝も韓日合作映画の製作に乗り出す。人気俳優の長瀬智也(22)主演の「ソウル(仮)」だ。興行収入42億円を記録した日本の「ホワイトアウト」と史上最高の観客動員を記録した韓国映画「シュリ」のスタッフがタッグを組み、「言葉を超えたエンターテイメント」を目指す。

 同映画はオール韓国ロケ。映画初出演・初主演の長瀬が単独で韓国に乗り込み、撮影に挑む。出演者は長瀬以外はみな韓国人。共演は人気スターの崔民秀。

 来春日韓同時公開される。