日本の一部歴史教科書の歴史わい曲問題をめぐり、韓日関係の悪化が懸念されている。韓国政府が日本大衆文化の追加開放延期や教育交流事業の全面見直しを発表したのに続き、18日には韓国国会が、「修正要求が認められない場合には、未来志向の関係構築を合意した98年の『韓日パートナーシップ共同宣言』の破棄も検討すべき」との決議を行った。韓日交流に取り組んできた自治体でも、厳しい世論を背景に交流延期を決定する自治体が目立っている。在日社会でも抗議の声が高まっている。
日韓親善協会中央会(三塚博会長)は、予定していた高校生20人の訪韓交流を延期、宮城県田尻町が計画していた韓国・堤川市との中学生交流も延期された。
千葉県成田市サッカー協会の仁川広域市中区への親善チーム訪問は中止、富山県で開かれる「環日本海インターハイ親善交流大会」への韓国・江原道からの選手団派遣、静岡県が主催する8月の世界少年サッカー大会への韓国チーム参加も中止された。
サッカーの2002年W杯韓日共催を記念し、韓国と日本の人気歌手が一緒にレコーディングを行った共同アルバム、「プロジェクト2002」の発売が無期延期される。共同アルバムの発売を推進してきた韓国音楽産業振興財団が、「韓日関係が好転しない限り、共同アルバムの発売を延期せざるを得ない。取り消しになる可能性もある」としたもの。
同財団は日本音楽産業・文化振興財団と共に、昨年9月から共同アルバム製作事業を推進。韓国からチョウ・ソンモ、god、ユ・スンジュンなど6チームと、日本からチューブ、チャゲ&飛鳥など6チームが参加。両国の歌手が自国語で歌ったアルバムが、今年8月末に販売される予定だった。また沖縄では、韓日合同演劇の公演が中止になった。
韓日合作映画を推進している松竹、東宝、東映、アミューズなど各社は計画通りに撮影を進めているが、「来年の公開時期までに決着がついてほしい」(東宝)、「韓国映画の輸入も進めているので、影響が心配」(松竹)などの声が起きている。
アミューズの子会社アミューズコリアの関係者は、「韓国内の世論は(日本で感じるより)とても厳しい。一日も早く解決してもらいたいのだが」と話す。
韓国内でもマスコミや学者などから、「自治体交流や文化交流は継続すべき」「韓日とも妥協点を見いだしてほしい」などの声があがっている。
在日本大韓民国民団(民団)栃木県本部はこのほど、「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史教科書を来年度から使う方針を固めた栃木、小山両市の教育委員会に対し、民団栃木県本部(鄭珍模団長)は、鄭団長をはじめとする8人の代表団を構成、「扶桑社の教科書は、アジア諸国をはじめ、世界の国々に新たな誤解と偏見を生み出す」として、再検討を要望した。両教育委員会には市民からの抗議の声も殺到、採用方針を白紙に戻した。
歴史学者の李進熙さんは、「韓国政府の厳しい対応は当然。在日社会は2、3世のため、もっと積極的に抗議の声をあげてほしい」と語る。
韓国政府は大衆文化追加開放延期などに続く措置は当面行わず、共同宣言廃棄を求める国会決議も静観して、日本政府の対応を見守る。しかし事態に変化がない場合、8月15日以後に第2次追加措置を発表する予定だ。